fc2ブログ

艸句会報:東陽(令和4年8月27日)

東陽句会(江東区産業会館)
兼題 折句とまむ 例句/とろろ汁鞠子と書きし昔より 富安風生

印象句
灯火親し学び直しの虫眼鏡      堤 やすこ
【一口鑑賞】東陽句会は折句を作り始めて今月で4回目。慣れてきたようで、折句とはわからないような自然な句が増えてきた。掲句もその一つ。これからの時期にぴったりの「灯火親し」を上五に置いて下五の「虫眼鏡」と取り合わせた。中七の「学び直しの」という措辞が二つをうまく結び付けており、淀みがない。コロナ禍で吟行をする機会も少ないが、頭の体操をしながら俳句を楽しんでいる作者の姿も浮かび上がってくる。(潔)

慰めのことば探して葡萄吸ふ     向田 紀子
東京の真ん中にある虫の闇      山本  潔
とまどひつ間を置く気配虫時雨    中川 照子
東京タワーまるごと洗ふ夕立かな   飯田 誠子
賞味期限切れの乾パン終戦日     中島 節子
友の丈ちつと縮むやつくつくし    松本ゆうき
釣りし鯊水に返して宵の星      新井 洋子
深紅の旗白河の関越えて秋      新井 紀夫
かなかなや校舎を繋ぐ渡り廊     岡崎由美子
細やかに草の葉揺らす処暑の風    岡戸 林風
自転車に取り囲まれて駅残暑     安住 正子
秋空の底はどこかと聞く子かな    斎田 文子

(清記順)

艸句会報:すみだ(令和4年8月24日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「話」

印象句
空き缶の中の秋思を踏みつぶす     山本 吉徳
【一口鑑賞】「秋思」は秋に感じるものおもい。「春愁」に比べると、寂しさがつのる。春には人を恋うが、秋は人を遠ざけるという。そんなしみじみした気持ちをいち早く感じた作者。まだ「空き缶」に入る程度のものだが、早めにつぶしておこうと思ったのだろう。ユーモアを感じさせる一方で、繊細な内面が顔をのぞかせている。長年、秋のものおもいと真剣に付き合ってきた人ならではの一句。(潔)

あさがほと話ししてゐる少女かな    貝塚 光子
軽やかに挨拶かはし処暑の句座     岡崎由美子
新涼やカレー自慢の友の店       松本ゆうき
亡き妻に一声かけて盆の月       岡戸 林風
つくつくし同じ話を何度でも      山本  潔
トリュフより自然薯好きなパリジェンヌ 矢島 捷幸
まだまだと昭和の音や扇風機      大浦 弘子
蟬時雨僧の読経と相合はす       工藤 綾子
つぎつぎと風が咲かせる白芙蓉     長澤 充子

(清記順)

艸句会報:東陽(令和4年7月30日)

東陽句会(江東区産業会館)
兼題 折句/は・い・い 例句/八月の一樹一樹の祈りかな 舘岡沙緻

印象句
炎昼の破裂しさうな瓦斯タンク    岡崎由美子
【一口鑑賞】「炎昼」は灼けつくような真夏の昼間の暑さ。今年の夏は35℃を超える猛暑日が各地で続出している。そんな日に瓦斯(ガス)タンクを間近に見た作者。「破裂しそうな」という実感に読み手も素直に共鳴する。この句のイメージの喚起力はなかなかのものだ。タンクの形状を思い浮かべると、地球の姿と重なってくる。一歩間違えば第3次世界大戦に発展しかねないロシアのウクライナ侵攻が頭のなかをよぎる。(潔)

ハンガーに捨ても着もせぬサンドレス 中島 節子
浜町河岸粋な浴衣と行き違ふ     中川 照子
背徳に生きし日のあり生身魂     新井 洋子
はらからといつもの店の一夜鮓    山本  潔
駄菓子屋に釣具置かるゝ夏休     安住 正子
さるすべり循環バスのルートA     向田 紀子
山のまた奥に山あり蟬しぐれ     斎田 文子
幽谷に点る出湯の誘蛾灯       新井 紀夫
初蟬の一山一寺一本に        飯田 誠子
初嵐今が大事と家にゐる       岡戸 林風
埋葬の縁者をつつむ蟬時雨      堤 やすこ
箱庭の一本道の家路かな       岡崎由美子

(一口鑑賞)

艸句会報:すみだ(令和4年7月27日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「聞・聴」

印象句
甚平が作務衣ひつぱり碁会所へ    矢島 捷幸
【一口鑑賞】夏の夜には甚平を着て一杯!という人も少なくないだろう。麻や木綿で作られ、単衣で素肌に着る心地良さは捨てがたい。ユニクロや無印良品などでは夏のホームウエアとして人気があるようだ。この句は、甚平姿の人が作務衣を着た人を連れて碁会所へ行くところ。囲碁好きの親方のキャラクターや、しぶりながらついていく職人の姿が想像されて何だか楽しい。俳句は短いが、一場面を切り取ることでときには人間のドラマが見えてくる。(潔)

夏の蝶舞へば耳立て聴導犬      山本  潔
降りさうで降らぬ武蔵野朝曇     松本ゆうき
汀打つ波のかたちに夜光虫      岡戸 林風
手花火の松葉あかあか子らを染む   矢島 捷幸
寄席涼し咄聞かうか眠らうか     貝塚 光子
昼寝覚五体遠くにありにけり     山本 吉徳
朝まだき守宮顔だす植木鉢      工藤 綾子
片蔭に寄り添ふ刻は短くて      大浦 弘子
老鶯の長啼く山路遠ざかる      長澤 充子
青年の佇む花舗やパリー祭      岡崎由美子

(清記順)

艸句会報:かつしか(令和4年7月24日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「移」

印象句
立葵今朝は定時のタウンバス     新井 紀夫
【一口鑑賞】「立葵」は西アジア、東欧の原産。日本には室町時代に渡来したとされる。真っ直ぐに伸びた太い茎は2㍍を超え、下から上に順々に花をつけていく。赤やピンク、白、紫など花色は豊富でいかにも夏の花らしい。そんな立葵を眺めていた作者。いつもは遅れがちなタウンバスが時間どおりにやってきたのだ。「今朝は」と強調したところに作者の驚きが伝わってくる。日常のなかのさりげない感動を書きとめた一句。(潔)

ちんぐるま八幡平の風に舞ふ     佐治 彰子
若大将混じる江ノ電夏の潮      近藤 文子
恋螢落ち一天の闇増やす       新井 洋子
七夕のぷつと笑へる願ひ事      小野寺 翠
釣忍横目にすする二八そば      片岡このみ
貧乏を知るや知らずや我鬼忌かな   松本ゆうき
幼稚園バス母を見送る夏の蝶     高橋美智子
通院の道は紅白さるすべり      笛木千恵子
梅雨明けや何かお稽古始めましょ   西村 文華
古民家の移築再生柿若葉       山本  潔
向日葵の迷路を声の走りけり     霜田美智子
揚羽蝶ゆるりと羽を閉じにけり    伊藤 けい
日盛や遺跡に光る移植鏝       五十嵐愛子
夜濯の手もて叩きぬ稽古足袋     千葉 静江
明易しベッドの上でストレッチ    西川 芳子
キャンプの灯消して闇夜の音を聴く  三尾 宣子

(清記順)
プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
艸俳句会カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
1266位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
小説・詩
36位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR