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『花暦』平成28年3月号速報!   

舘花集・秋冬集・春夏集抄

古着屋に女客あり置炬燵(進藤龍子)
寄せ鍋を作り一人の夕べかな(白崎千恵子)
なにするも辞書手放せず木の葉髪(根本莫生)
千の目を剥き乾鮭の逆さ吊り(浅野照子)
帽子ごと老いし卒寿の日向ぼこ(池田まさを)
白き嶺々屏風囲ひに冬田晴(野村えつ子)
美容院の鏡に玻璃に聖樹の灯(田村君枝)
冬日の斑拾ひて鉢のシクラメン(小泉千代)
暗がりに人声ひそと除夜詣(高橋梅子)
息白し明日は晴るるか夕茜(小池禮子)
火伏せ札新しくして七日粥(岡田須賀子)
地平まで美瑛の丘の深雪晴(貝塚光子)
舞ひ上る吉書届けよ高嶺晴(安住正子)
良寛の小径をたどり蕗の薹(鶴巻雄風)

花暦句会報:例会(平成28年2月15日)

花暦:例会(平成28年2月15日 俳句文学館)

高点句
春寒し太夫声張り木偶哭けり(新井洋子)
老いてなど居られぬ今朝の初音かな(加藤弥子)
木々芽ぐむ仏像の掌の生命線(浅野てる子)
春光に空恋ふ鋭声籠の鳥(向田紀子)
春氷いつまで意地をはるつもり(松成英子)
ふるさとの山河ほどけて春の音(束田央枝)

花暦句会報:若草(平成28年2月13日)

若草句会 平成28年2月6日(俳句文学館)

高点句
一と日学び一と日呆けて寒の明(安住正子)
勤め上げし夫に今宵の桜鯛(市原久義)
冬帽子額の傷はかくしけり(根本莫生)
桜鯛跳ねて歓喜の重力波(山本 潔)
桜鯛熟睡のままのお食ひ初め(岡崎由美子)
熟睡(うまい)

(一口鑑賞)1句目は老後の日常における季節感。マイペースで俳句も学んでいる。2句目は男性作者が奥さんになり代わって詠んだ。希望的観測!3句目は酔っ払って負った傷?俳諧味が感じられる。うまく隠したつもりでも…。4句目はアインシュタインの予言が証明されたことへの共鳴。5句目はお孫さんのお食い初め。主人公は熟睡のまま。心温まる家族の風景。(K)

注目句
荒風に狐の耳立てり午祭(針谷栄子)狐(こ)
息遣ひの胸やはらかき浮寝鳥(岡崎由美子)
偏食の夫に刻みし菠薐草(安住正子)
煮大根煮なほす朝の一人膳(飯田誠子)
如月の磨き抜かれし大玻璃戸(岡崎由美子)
福豆を掴む力士の掌の膨(市原久義)
膨(ふくら)
辻芸の毬は光に春の空(坪井信子)

花暦句会報:風の会(平成28年2月6日)

風の会 平成28年2月6日(千葉県長生郡長柄町「生命の森」市原邸にて)

高点句、注目句 
行く先を探しあぐねて春の闇(市原久義)
やどり木の生命を繋ぐ浅き春(市原久義)
房総の低き山々春浅し(岡戸良一)
今生のわが呻吟句春の闇(岡戸良一)
こきこきと寒の明けたる上総かな(岡戸良一)
春風や配達員の野球帽(山本 潔)
立春の宿り木にゐる鴉かな(山本 潔)
浅春のやりどころなき歯の痛み(大野ひろし)
春の闇人の気持ちも知らないで(大野ひろし)
生き生きとマラソンランナー水仙花(根本莫生)
寒明けの紫紺の空に雲ひとつ(根本莫生)

プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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