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花暦句会報:江東(平成28年5月28日)

江東句会(江東区産業会館)
席題「燕の子」「今年竹」「アマリリス」

高点2句
広島に未来ありけり燕の子     山本  潔
江戸切子削る店先燕の子      岡田須賀子

谷若葉舟より仰ぐアーチ橋     貝塚 光子
今年竹カスタネットの鳴り響く   山本  潔
百体の石の羅漢や今年竹      岡戸 良一
麦秋や埃まみれの反射鏡      野村えつ子
山門の木組み桝組み青葉闇     岡戸 良一
ブロンズの裸婦の跳躍アマリリス  野村えつ子
「わが血の色」と深紅の薔薇をもらひけり 長澤 充子
燕の子通園バスは五人掛け     市原 久義
浮世絵に見る波の裏夏めけり    岡田須賀子

                      (清記順)

花暦句会報:すみだ(平成28年5月25日)

すみだ句会(平成28年5月25日 墨田産業会館)

高点6句
明日のこと知らぬ倖せメロン食ぶ  加藤 弥子
何処からか人湧き出づる三社祭   工藤 綾子
百合の香の重き夕べや師を想ふ   岡崎由美子
爺ちやんが本気で将棋子供の日   福岡 弘子
朴咲いて山鳩日がな鳴き通す    岡戸 良一
失言にくちびる乾く街薄暑     山室 民子

若葉風舟で訪ねる江戸史跡     高橋 郁子
睡蓮の池の余白に鯉の口      福岡 弘子
少年のズックのカバン麦の秋    岡戸 良一
制服の臙脂のリボン濃紫陽花    長澤 充子
安らぎを葉の裏と決め蝸牛     野村えつ子
夏の雲水田の隅に浮く芥      大野ひろし
くり返すボレロの曲やキャベツ剥ぐ 山室 民子
句作りに短夜の日のありにけり   白崎千恵子
鎌倉や古民家カフェのかき氷    岡崎由美子
Gパンのポケット・スマホ・缶ビール 市原 久義
旧道の土留めに傾る夏落葉     森永 則子
竹皮を脱ぎ終りたる空の張り    加藤 弥子
風五月特設水上能舞台       鳰川宇多子
風を呼び風と遊びて夏木立     工藤 綾子
幼子のしつかり走るポピー畑    貝塚 光子
                      (清記順)

花暦句会報:若草(平成28年5月14日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「レモン水」/席題「悩」

高点4句
レモン水智恵子の空の遥かなる   岡戸 良一
悩ましき月下美人の真の闇     新井 洋子
何もかも真つ直ぐな頃レモン水   針谷 栄子
衰へし牡丹弔ふやうに剪る     矢野くにこ

水の面に罅入るごとく牛蛙     安住 正子
歳月や一人になりてレモネード   新井 洋子
ハンカチの花以て拭かん師の眼縁  市原 久義
もてあます光の午後やレモン水   岡崎由美子
茅花流し休耕田の暮れ残る     岡戸 良一
露天商緑雨に一人将棋かな     飯田 誠子
この一句出来ぬが悩み弱冷房    加藤 弥子
共に老うことの酸つぱさレモン水  坪井 信子
 亡き師に
叱咤てふ涼やかな風もう少し    根本 莫生
人体を走る血管青嵐        針谷 栄子
トロッコの鉄路狭める青嵐     森永 則子
青山河を掻き毟りたる地震の痕   矢野くにこ
ストローを噛む癖いまもレモン水  山本  潔

花暦句会報:風の会(平成28年5月7日)

風の会(千葉県長生郡長柄町「生命の森」市原邸にて)
袋回し:「森」「青葉」「夏来る」「植田」「青嵐」「蛇」

【森】
「生命の森」に句座あり冷奴    山本  潔
新緑の森に響きし「まあだだよ」  廣田けんじ
朴咲けり生命の森の華やぎて    岡戸 良一

【青葉】
句座愉し窓全開に青葉風      岡戸 良一
屋上に物干す今朝の青葉風     大野ひろし

【夏来る】
豆腐屋の巡る山里夏来る      市原 久義
ベビーカーの足ぶらぶらと夏来る  廣田けんじ

【植田】
あきらけき植田の横の捨田なる   根本 莫生
緩き弧を描き棚田の植ゑらるる   市原 久義

【青嵐】
青嵐わが掌の中の迷ひ鳥      山本  潔
青嵐林の中に耕作地        大野ひろし

【蛇】
ゆるやかによぎりし蛇の長さかな  根本 莫生

追悼:舘岡沙緻主宰

  舘岡沙緻主宰を悼み
甦り来る師の御声あり余花仰ぐ    相澤 秋生
潔き師よメーデーに逝き給ふ     浅野 照子
アネモネの散り急ぐかに師の逝けり  安住 正子
師の句碑に師を悼みたる花吹雪    新井 洋子
惜春や光の中の師の笑顔       飯田 誠子
今生の別れに集ふ青葉風       石田 政江
聖五月待ちて清らに逝かれしか    市原 久義
御冥福祈りて拝む若葉光       江澤 晶子
在りし日の師の高笑ひ夏の雲     大野ひろし
あかときを待たで牡丹散りにけり   岡崎由美子
白牡丹両手にあまる師の教へ     岡田須賀子
とこしへの塔仰がれよ余花の旅    岡戸 良一
曙に燃へ尽きゐたる白牡丹      貝塚 光子
沙緻師逝く黄泉路も花柚香るらむ   加藤 弥子
白蝶の舞ふが如くに師の逝けり    工藤 綾子
春盛り思ひ出したる響く声      小西 共仔
鳥曇り胸のつまりし師の訃報     斎田 文子
先生とお別れの日や春惜しむ     白崎千恵子
天国は斯くやと白き「夏の雲」    進藤 龍子
アネモネの揺れの止まざる日なりけり 高久智恵江
春逝くや心に残る師の御声      堤  靖子
俳諧は沙緻師のいのち愛鳥日     坪井 信子
新樹光師との俳縁なほ深む      長澤 充子
句碑は吾子と笑顔遺して春逝けり   中島 節子
五月の風にのりて主宰の逝きにけり  中村 京子
薫風や師の恩永遠に忘れまじ     鳰川宇多子
一徹を貫き逝きし青葉風       根本 莫生
空耳に張りし師のこゑ桐の花     野村えつ子
添削の赤ペンの文字春惜しむ     針谷 栄子
遠き橋に在りし師想ふ青葉寒     春川 園子
五月風師との縁を忘れまじ      福岡 弘子
新緑の風を集めて黄泉の道      松川 和子
枕辺に薔薇を飾らむ師は逝けり    向田 紀子
風の戸を幾夜越えたる吊忍      森永 則子
清清と五月風立つ師は黄泉に     矢野くにこ
大空に散り急ぎたる白牡丹      山室 民子
愛鳥日間近に待ちてをられしに    山本  潔

訃報:舘岡沙緻主宰死去

舘岡沙緻・花暦主宰は5月1日未明、逝去されました。
謹んで哀悼の意を表します。

■舘岡沙緻(たておか・さち) 昭和5年5月10日、東京都江東区生まれ。42年「春嶺」入門。45年第9回春嶺賞受賞。63年春嶺功労者賞受賞。平成4年「朝」入会。10年2月「花暦」創刊主宰。24年俳人協会評議員。句集に『柚』『曳舟』『遠き橋』『昭和ながかりし』『夏の雲』。

  遺 句 抄
落鮎の簀竹に光り身じろがず    舘岡沙緻『柚』
胸伏せて眠る花火を見しあとは       『柚』
水の上に赤き毬浮く震災忌         『曳舟』
靴脱いで蹠さびしき涼み舟         『遠き橋』
後手をついて山見る冷し飴          〃
止どまれば吾も梅雨の木歩まねば      『昭和ながかりし』
初蝉と思ひしそばに誰もをらぬ        〃
昭和ながかりし麦稈帽古りぬ         〃
仲見世の切れ目切れ目の冬日かな       〃
手袋を脱ぎたるあとの独りかな        〃
白梅を昭和の色と愛ほしむ         『夏の雲』
風あれば鳥声あれば師の桜          〃
風止めば白の量感雪やなぎ          〃
傘さすも五月雨癌の身を濡らす        〃
ソフトクリームの看板汚れ船着場       〃
山と湖だけではさびし夏灯          〃
おほかたは一人暮しや吊忍          〃
ゆるやかに生きてゆきたし風九月       〃
思はねば事のすすまぬ秋初          〃
月の芒商ふほどもなかりけり         〃
遠野の河童夜は冬瓜の上に坐すや       〃
春たのし人の集ひに衣を替へて        〃
プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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