すみだ句会(墨田産業会館)
高点4句
石蕗日和縁側と云ふふところに 加藤 弥子
冬夕焼メッキ工場の硝子窓 岡崎由美子
沖航ける豪華客船大根引く 岡戸 良一
黄落や打ち出の小槌ふるごとく 野村えつ子
円形の児童図書室冬灯 岡崎由美子
地に降りしばかりの桜もみじかな 大野ひろし
向ひ風進む坂道一葉忌 高橋 郁子
蒼天の光と消ゆる冬の蝶 市原 久義
大綿やつかみどころの無き虚空 福岡 弘子
真新なブルーの手帖十二月 長澤 充子
咳き込みて顔の尖りし思ひかな 加藤 弥子
一対の鉢を門とし菊花展 野村えつ子
初雪や師の句碑はるか能登の空 岡田須賀子
生真面目な目立たぬ生徒枇杷の花 工藤 綾子
前の世の煤をまとひてかまど猫 岡戸 良一
新巻を男結びに魚市場 白崎千恵子
(清記順)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「熊」「兎」
高点3句
銭湯に隣る下宿屋一葉忌 安住 正子
村人の救ひし木仏笹子鳴く 浅野 照子
日溜りの安らぎにあり枯蓮 野村えつ子
外濠の夜の白鳥うす明り 飯田 誠子
悠悠と熊知床の荒磯に 市原 久義
直線に陰るビル間の蒲団干し 斎田 文子
方丈の悟りの窓や冬もみじ 岡戸 良一
故郷のまたぎの話兎汁 貝塚 光子
裏山へ兎罠見に兄弟 安住 正子
鎌錆びて枯蟷螂の祈るかに 新井 洋子
兎年生まれでありし冬ぬくし 白崎千恵子
山門の袖に迫り出す花八ツ手 長澤 充子
芦刈女夕日の色となりにけり 野村えつ子
石蕗の花転ばぬ先の杖恃み 浅野 照子
(清記順)
若草句会(俳句文学館)
兼題「初冬」/席題「無」
高点3句
無言館いで冬ざれの黙なりし 飯田 誠子
悔いの無く生きるつもりよ冬紅葉 針谷 栄子
スペードのジャック横向き風邪心地 坪井 信子
野菊晴賜はり久の吟行日 矢野くにこ
冬に入る山並白を重ねつつ 岡戸 良一
ばあちやんの洗ひ観音冬はじめ 坪井 信子
凩や壺にオモニの沈菜(キムチ)漬 針谷 栄子
風鐸に風の棲みつく冬はじめ 加藤 弥子
初冬の竹百幹の艶めけり 飯田 誠子
色葉散る芝生に「除染済」の札 市原 久義
アラフォーの革のジャンパーピンヒール 新井 洋子
(清記順)
風の会(磐梯熱海:紅葉館きらくや)
復刊を果たす俳誌や柚子は黄に 岡戸 良一
柿の名は「会津見知らず」山晴るる 相澤 秋生
黄落の輝きを掃く竹箒 加藤 弥子
夕暮や紅き実灯る枯茨 根本 莫生
石切の壁を縁取る紅葉山 市原 久義
夕鵙や足湯に一人つかりをり 矢野くにこ
山里の小さきダムや枯尾花 大野ひろし
越の酒ふくしまの酒小六月 山本 潔
薬缶鳴る独りの夜の葛湯かな 岡戸 良一
天空は地球の余白紅葉山 相澤 秋生
シャンソンの含み声して窓小春 加藤 弥子
発電の水溢れ出づ紅葉山 根本 莫生
黄落や酒家の看板日に透けて 市原 久義
車井戸使はぬままや木守柚子 矢野くにこ
黄落や里の電柱傾きて 大野ひろし
みちのくの駅舎に迫る紅葉山 山本 潔
袋廻し:柚、紅葉山、柿、黄落、葛湯、小春、枯尾花、足湯
連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
高点4句
諳ずる夫の戒名雁渡る 加藤 弥子
末枯るる誰にも会はぬ園にあり 向田 紀子
師の句集味はひ読むや秋灯下 春川 園子
引力の音かも木の実降りしきる 坪井 信子
聳えたつ武甲山塊椋鳥渡る 向田 紀子
今年米の塩むすび食ぶ至福かな 飯田 誠子
御手洗のセンサー作動小鳥来る 田村 君枝
葉先より宝石のつぶ紅葉雨 田崎 悦子
秋渇き野獣被害の話など 春川 園子
ピラカンサス赤鮮烈に胃の重し 加藤 弥子
晩秋の池に一すじ水脈白し 進藤 龍子
自然薯を掘りしあたりは団地群 根本 莫生
栗飯や同じこと問ふ母とゐて 中島 節子
行く秋や我れも旅人芭蕉像 横山 靖子
山かけて野かけて草の錦かな 矢野くにこ
光りつつ指に移りし露の玉 坪井 信子
(清記順)