花暦句会報:東陽(平成30年2月24日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「猫の恋」「芽一切」
高点4句
明日あるを信じてものの芽のほぐる 野村えつ子
夭折も天寿もありて落椿 野村えつ子
しあはせと思ふ幸せ雛飾る 浅野 照子
恋猫に銀座八丁広からず 安住 正子
野良猫の恋バルコンのペルシャ猫 新井 洋子
退屈な風の素通り犬ふぐり 安住 正子
一山のものの芽のこゑ鐘の声 岡戸 良一
春めくや公園に鳩と老人と 堤 靖子
銀ぶらへふはりひと巻き春ショール 飯田 誠子
欄干に触るる柳の芽吹きかな 斎田 文子
恋猫の声明兜太逝かれしと 市原 久義
兜太逝き狩行引退木の芽どき 浅野 照子
梅白し料亭の庭清められ 長澤 充子
流氷に秘めし色あり空の青 貝塚 光子
通り抜け禁止の路地の猫の恋 野村えつ子
(清記順)
一口鑑賞「恋猫に銀座八丁広からず」〜正子さんの句。春が来て発情した猫が銀座を舞台に繰り広げる恋物語。行動範囲も広がり、8丁目まである銀座も恋猫にとっては決して広くない。長年、数寄屋橋の新聞・雑誌スタンドで仕事をしていた作者にとって銀座は庭のようなもの。そういえばスタンドにも時々、猫がやって来た。ふられたくせにハイソな雰囲気のやつがいたかと思えば、築地辺りまで遠征してきたような妙に魚臭いやつもいた。「兜太逝き狩行引退木の芽どき」〜照子さんの句。現代俳句の雄、金子兜太氏が2月20日に亡くなった。一方、伝統俳句の大御所、鷹羽狩行氏は今年末に「狩」を終刊する。春の木の芽を眺めながら、世代交代のときを迎えた俳壇への感慨が込められている。(潔)
席題「猫の恋」「芽一切」
高点4句
明日あるを信じてものの芽のほぐる 野村えつ子
夭折も天寿もありて落椿 野村えつ子
しあはせと思ふ幸せ雛飾る 浅野 照子
恋猫に銀座八丁広からず 安住 正子
野良猫の恋バルコンのペルシャ猫 新井 洋子
退屈な風の素通り犬ふぐり 安住 正子
一山のものの芽のこゑ鐘の声 岡戸 良一
春めくや公園に鳩と老人と 堤 靖子
銀ぶらへふはりひと巻き春ショール 飯田 誠子
欄干に触るる柳の芽吹きかな 斎田 文子
恋猫の声明兜太逝かれしと 市原 久義
兜太逝き狩行引退木の芽どき 浅野 照子
梅白し料亭の庭清められ 長澤 充子
流氷に秘めし色あり空の青 貝塚 光子
通り抜け禁止の路地の猫の恋 野村えつ子
(清記順)
一口鑑賞「恋猫に銀座八丁広からず」〜正子さんの句。春が来て発情した猫が銀座を舞台に繰り広げる恋物語。行動範囲も広がり、8丁目まである銀座も恋猫にとっては決して広くない。長年、数寄屋橋の新聞・雑誌スタンドで仕事をしていた作者にとって銀座は庭のようなもの。そういえばスタンドにも時々、猫がやって来た。ふられたくせにハイソな雰囲気のやつがいたかと思えば、築地辺りまで遠征してきたような妙に魚臭いやつもいた。「兜太逝き狩行引退木の芽どき」〜照子さんの句。現代俳句の雄、金子兜太氏が2月20日に亡くなった。一方、伝統俳句の大御所、鷹羽狩行氏は今年末に「狩」を終刊する。春の木の芽を眺めながら、世代交代のときを迎えた俳壇への感慨が込められている。(潔)