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艸句会報:かつしか(令和6年2月25日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「森」

印象句
木の芽雨筑波の森を覆ひけり     小野寺 翠
ペガサスに乗り旅に出る春の夢    小森 貞子

【一口鑑賞】翠さんの句。「木(こ)の芽雨」は春の芽吹きのときに降る雨。木々の芽がとりどりの色や形に芽生えてくるなか、雨に濡れてしっとりと輝いている森は美しい。バス旅行で筑波山へ行ってきた作者。森全体を覆うような春雨のなかで、木々の息吹を感じるままに詠んだ。貞子さんの句。「春の夢」は春の眠りのなかで見る夢のこと。この句は「ペガサスに乗り」という句またがりの措辞が読み手の興味を引きつける。さらに「旅に出る」でロマンを感じさせる。春らしい希望にあふれる一句。(潔)

賑やかに夜汽車見送る春コート    高橋美智子
煌めける庭木の雫雪の果て      笛木千恵子
この森を祖父から孫へ雪間草     近藤 文子
探梅の白寿の足の軽やかに      小野寺 翠
うららかや藩邸偲ぶ紀尾井坂     五十嵐愛子
雉子鳴く森閑として山も奥      新井 洋子
伊豆沖に行き交ふ船や春霞      伊藤 けい
うす暗き森の賑はひ百千鳥      片岡このみ
うぶすなの鎮守の森や苗木市     霜田美智子
風吹けば踊るが如しチューリップ   西川 芳子
靴下の毛玉取る癖春炬燵       千葉 静江
猫舌に熱きスープや春の雪      山本  潔
早春の早稲田の森の八一展      西村 文華
亀鳴くや今も手書きの診察券     新井 紀夫
音もなく勿忘草の咲く野かな     小森 貞子
春雷や逃げるシーサーぶりの猫    霜田美智子

(清記順)
※次回(3月24日)の兼題「前」

艸句会報:東陽(令和6年2月24日)

東陽句会(江東区産業会館)
兼題 折句「あいう」
例句 青空のいつみえそめし梅見かな 久保田万太郎

印象句
あいさつを犬からはじむうべの花   斎田 文子
杏咲き一斉に村浮きたちぬ      新井 紀夫

【一口鑑賞】文子さんの句。犬との散歩は楽しい。犬と犬、人と犬、人と人。それぞれにさまざまな出会いがある。そんな様子を日頃からよく観察している作者。折句として詠まれたが、焦点が犬に合っている。「うべの花」は郁子(むべ)の花の別称。アケビ科の蔓性植物で晩春の頃、葉の間に白みがかった淡い紫の小さな花が咲く。紀夫さんの句。杏は3〜4月に白または薄紅、紅の花を咲かせる。この句は一読して、杏の花がけむり立つように咲き誇る山里の景が浮かんでくる。折句とは思えない自然な詠みぶり。(潔)

朧夜の言葉はいらぬ二人かな     飯田 誠子
あと一首に息ひそめ合ふ歌がるた   中川 照子
跡継ぎの居る幸せや梅盛る      安住 正子
蟻穴を出でて何処へ裏参道      中島 節子
アーモンド色に日暮れて鶯菜     伊藤  径
連れ添うて歩きだしさう吉野雛    向田 紀子
綾とりの糸の思ひ出うららけし    堤 やすこ
厨から飛びだす猫や風生忌      山本  潔
春の夢ちいとあの世にゐたのかも   松本ゆうき
また友の旅立ち春の寒さかな     沢渡  梢
根つこより樹々の目覚むる雨水かな  新井 洋子
抱きし児の遠き目差し春の雲     斎田 文子
自分史を辞令に辿る目借時      新井 紀夫
淡雪や眠れる子犬売れ残り      関山 雄一
春宵の唐橋に聴く鐘の声       岡戸 林風

(清記順)
※次回(3月23日)の兼題はテーマ「道」

艸句会報:若草(令和6年2月10日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「天気(テーマ)」 席題「目」

印象句
天気図にたをやかな尾根春きざす   市原 久義
犬ふぐり小さな見栄と誇り持ち    松本ゆうき

【一口鑑賞】久義さんの句。兼題のテーマ「天気」から発想して「天気図」を凝視したのだろう。西高東低の冬型の気圧配置が緩むと、シベリア方面からの移動性高気圧が徐々に勢力を増してくる。この句は、天気図の等圧線のなかに「たをやかな(気圧の)尾根」を見てとったのだ。春はまさにそこからやってくる。着眼点が素晴らしい。ゆうきさんの句。「犬ふぐり」は春、先がけて地表を覆う。ユニークな名称だが、メルヘン的な想像を誘う花でもある。掲句は、この季語によって辛うじて俳句に踏みとどまっているのではないか。(潔)

老いてなほ仲むつまじき二輪草    片岡このみ
暁闇の春雪すでに靴の跡       安住 正子
寒夕焼明日も平和な一日なれ     市原 久義
句作帳閉ぢてまどろむ春の宵     飯田 誠子
カーテンを開けて雪見の夕餉かな   沢渡  梢
ネーブルの臍のあたりの余寒かな   松本ゆうき
休眠の目醒む球根四温かな      霜田美智子
寒の水ごくりごつくん立山(たち)拝す 吉﨑 陽子
父さんのちちんぷいぷい山笑ふ    新井 洋子
逍遥の径や目刺焼く匂ひ       岡戸 林風
鳥籠のカナリア逝きし春日影     新井 紀夫
春立つやユニセフよりの感謝状    石田 政江
上がり目も下がり目もゐてうかれ猫  山本  潔

※次回(3月9日)の兼題「片」

艸句会報:連雀(令和6年2月7日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「上・下」

印象句
春めくや鳥入れ替はる楠大樹     中島 節子
早春や娘と開くファッション誌    春川 園子

【一口鑑賞】節子さんの句。春の初めを示す季語には「早春」「春浅し」などもあり使い分けに迷うが、「春めく」は寒気がやわらいで暖かくなった感じを言う。副題に「春動く」「春きざす」がある。この句は、鳥が「入れ替はる」という把握が巧み。寒禽に替わって、繁殖準備に入る野鳥たちの明るい声が楠大樹から聞こえてくる。園子さんの句。まだ寒い時期だが、心待ちにしていた春がやってきた。外出はままならなくても、ファッション誌のカラフルな春の装いの写真が目を楽しませてくれる。娘さんとの心温まる早春のひととき。(潔)

城下町偲ぶ町の名下萌ゆる      向田 紀子
 追悼 進藤龍子様
またの日の願ひ叶はず冬菫      中島 節子
湧水の早春の音奏でをり       矢野くにこ
雪の道慣れて歩幅の定まりぬ     飯田 誠子
鬼やらひ人の声せぬ漁師町      松本ゆうき
風音のゆるみ冬芽のふくらみぬ    束田 央枝

 進藤龍子さんを悼み
料峭や浮上彫の白き龍        山本  潔
春寒やまだ行動の広がらず      春川 園子
如月の朝日木立に跳ね返る      坪井 信子

(清記順)
※次回(3月6日)の兼題「野」

艸句会報:船橋(令和6年2月3日)

船橋句会(船橋市中央公民館)
兼題「明」、ミニ吟行「中山法華経寺」

印象句
切手シート一枚当たる四温かな    川原 美春
一人とて明日を信じ福は内      飯塚 とよ

【一口鑑賞】美春さんの句。年賀状を出す枚数が年々減っており、自ずと届く枚数も少なくなった。1月も終わり近くになってお年玉付き年賀はがきの当選番号を確認した作者。期待はしていなかったのだろうが、3等の切手シートが1枚だけ当たっており、微笑ましい気分になったのだ。「四温かな」に気持ちが表れている。とよさんの句。若い頃の苦労を乗り越えて、今は離れて暮らす息子さんたちの幸せや、世界の平和を常に願っている作者。この日は節分。心のなかで「福は内」と唱えながら書きとめた一句。(潔)

和菓子屋の貼紙に春来たりけり    隣   安
冒険のやうな余生や月朧       川原 美春
赤い実をのせて明るき春氷      山本  潔
梅東風や白ブラウスの貝釦      新井 洋子
房総の菜の花畑岬まで        三宅のり子
荒行や木鉦叩く春の声        平野 廸彦
追儺式待つ境内のあんず飴      沢渡  梢
寒行の明けの近づく行者粥      岡戸 林風
頼られて頼る明け暮れ室の花     岡崎由美子
春暁の安房を駆けゆく貨車の列    小杉 邦男
節分会紅白幕の子供席        新井 紀夫
海老川の春満月の水明り       並木 幸子
ふところに手紙かくして日向ぼこ   飯塚 とよ

(清記順)
※次回(3月2日)の兼題「走」。句会場は船橋市勤労市民センター
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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