fc2ブログ

花暦:舘花集作家往来

  遊行柳     新井 洋子

あらたふと室の八嶋の青蛙
遊行柳植田明りの中にあり
関跡の土の湿りや茸生ふ
身に入むや日和山より被災地を
支那蕎麦を旅の締めとし虫の夜


  通りやんせ   坪井 信子

辻芸の毬は光に春の空
春眠の底にナウマン象の牙
風よ通りやんせ網戸は洗ひたて
奥多摩の山気身に添ふ岩魚膳
存へて水の地球の露を踏む


  風を呼ぶ    束田 央枝

七七忌修す寧けさ沙羅の花
風を呼ぶ迎へ火勢ひ増しにけり
掃苔や水たちまちに乾きゆく
雨催ひまだ不揃ひの曼珠沙華
秋薔薇に蔓の巻きつく一人住み

(「花暦」2016年上期号より)
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
艸俳句会カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
744位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
小説・詩
19位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR