花暦句会報:若草(平成29年10月14日)
若草句会(俳句文学館)
兼題「稲架」 席題「香」
高点4句
うそ寒の暮れて明るきガード下 岡崎由美子
連山を隠して越の稲架高し 岡戸 良一
水に沿ふ秋の金魚となりにけり 新井 洋子
雨の日の木犀の香のゆきどころ 坪井 信子
岬鼻に居り銀漢をふりかぶり 新井 洋子
団栗やダリの版画のイエス像 山本 潔
宮相撲「相撲甚句」で終りけり 針谷 栄子
灯の透ける釣瓶落しの勝手口 岡崎由美子
里へ下る軽トラ稲架に見え隠れ 市原 久義
香の物添へて新米塩むすび 岡戸 良一
潮騒や稲架の連なる千枚田 廣田 健二
棒稲架や父祖の地にして旅にして 加藤 弥子
猫足の香炉の青磁秋深む 飯田 誠子
次の世は朱鷺に生まれむ香を聞く 坪井 信子
(清記順)
一口鑑賞「うそ寒の暮れて明るきガード下」〜由美子さんの句。「うそ寒」は「薄寒」から転じた言葉とされ、秋のうちに感じる寒さ。間近に迫る冬への不安を何となく覚えながらも、どこかのガード下の明るさに心惹かれたのだろう。「うそ寒」から「ガード下」への転換に意表を突かれる。新橋や有楽町なら、ちょっと一杯やりたくなるところ。「里へ下る軽トラ稲架に見え隠れ」〜久義さんの句。あちこちに稲の干された山間地の農村だろうか。作業を終えて里へ帰る軽トラが稲架で見えたり隠れたりしている。ただそれだけのことなのだが、作者は少年のような心でその光景を目で追っている。(潔)
兼題「稲架」 席題「香」
高点4句
うそ寒の暮れて明るきガード下 岡崎由美子
連山を隠して越の稲架高し 岡戸 良一
水に沿ふ秋の金魚となりにけり 新井 洋子
雨の日の木犀の香のゆきどころ 坪井 信子
岬鼻に居り銀漢をふりかぶり 新井 洋子
団栗やダリの版画のイエス像 山本 潔
宮相撲「相撲甚句」で終りけり 針谷 栄子
灯の透ける釣瓶落しの勝手口 岡崎由美子
里へ下る軽トラ稲架に見え隠れ 市原 久義
香の物添へて新米塩むすび 岡戸 良一
潮騒や稲架の連なる千枚田 廣田 健二
棒稲架や父祖の地にして旅にして 加藤 弥子
猫足の香炉の青磁秋深む 飯田 誠子
次の世は朱鷺に生まれむ香を聞く 坪井 信子
(清記順)
一口鑑賞「うそ寒の暮れて明るきガード下」〜由美子さんの句。「うそ寒」は「薄寒」から転じた言葉とされ、秋のうちに感じる寒さ。間近に迫る冬への不安を何となく覚えながらも、どこかのガード下の明るさに心惹かれたのだろう。「うそ寒」から「ガード下」への転換に意表を突かれる。新橋や有楽町なら、ちょっと一杯やりたくなるところ。「里へ下る軽トラ稲架に見え隠れ」〜久義さんの句。あちこちに稲の干された山間地の農村だろうか。作業を終えて里へ帰る軽トラが稲架で見えたり隠れたりしている。ただそれだけのことなのだが、作者は少年のような心でその光景を目で追っている。(潔)
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