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花暦句会報:連雀(平成29年12月6日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「山茶花」

高点1句
丹精の亡夫の山茶花散り易し     束田 央枝

葉付き柚子卓に師の「柚」を紐解けり 進藤 龍子
検診異状なし電飾の冬夜空      束田 央枝
ブティックの鏡の中にゐて師走    加藤 弥子
慣れぬ字を祝儀袋に冬日和      中島 節子
逆らはず日々好日や冬初め      田崎 悦子
池の面に張り出す松の冬構      田村 君枝
底冷えの古民家の土間竃神      春川 園子
冬晴れに淡き昼月控へをり      向田 紀子
亡き友のロシア冬帽いまも眼に    根本 莫生
満腹と言へどもうまき河豚雑炊    松成 英子
山茶花のこぼれてもなほ夢のいろ   飯田 誠子
生姜湯を啜り胃の腑のありどころ   坪井 信子

                       (清記順)

一口鑑賞ブティックの鏡の中にゐて師走」〜弥子さんの句。ブティックの鏡に映る自分を見ている自分がいる。よく見ると、周囲の光景は何だか慌しい。「ああ、自分は今、師走の中にいるんだ」と実感しているのは、鏡の外にいて鏡を見ている自分。ただの鏡ではなく、「ブティックの鏡」と言ったところに造型的な広がりが感じられて面白い。「師走」という季語の斡旋もお見事。「生姜湯を啜り胃の腑のありどころ」〜信子さんの句。生姜湯は体を温める冬の飲み物。疲れを感じたり、風邪でも引きそうと思ったりしたときに、飲む人もいるだろう。作者は生姜湯が胃袋に届くところまで探っているのである。どことなく体調の不安を感じているのだろうか。体感的かつ心象的な作り方が上手い。(潔)
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Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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