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花暦句会報:若草(平成30年1月13日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「虎落笛」、席題「初鏡」
   

高点3句
虎落笛新任の地の駅頭に     岡戸 良一
心音か時計の音か雪催      坪井 信子
人恋ふや人無き里の虎落笛    市原 久義

ひととせに心めぐらす初湯かな  廣田 健二
まだ生きる力をしかと七日爪   岡戸 良一
糶終へしトロ箱の山虎落笛    飯田 誠子
鏡餅礼に始まる豆剣士      新井 洋子
松過ぎし厨の隅の一升瓶     岡崎由美子
ネクタイの幾何学模様初鏡    市原 久義
新築の戸ごとの明かり家の春   森永 則子
蠟梅の一枝を鼻で迎へけり    加藤 弥子
屋上の三百六十度の淑気     坪井 信子
ひと日なほひと年疾き柚子湯かな 針谷 栄子

                     (清記順)

一口鑑賞虎落笛新任の地の駅頭に」〜良一さんの句。サラリーマン時代の思い出だろうか。新任の地に降り立って聞く虎落笛(もがりぶえ)とは、思わず首をすくめたに違いない。冬の強い風が柵や竹垣に吹き付けてヒューヒューと音を立てるのが虎落笛。「もがる(虎落る・強請る)」には「逆らう」「いやがる」という意味もある。「糶終へしトロ箱の山虎落笛」〜誠子さんの句。市場の糴(せり)が終わり、空になったトロ箱が山と積まれている。築地に住む作者にとっては、見慣れた光景でも、虎落笛によって情景は一変する。市場にいつもとは違う寂しさが漂う。(潔)
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艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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