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花暦句会報:すみだ(平成30年1月24日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点3句
雪積むや鉄のにほひの非常口      加藤 弥子
連山の裏はふいごか寒夕焼       加藤 弥子
癒えし身の試歩は産土初天神      高橋 郁子

冬菊の冬菊として刈らずおく      工藤 綾子
醬油さす下仁田葱の甘さかな      桑原さかえ
手書なる白寿の叔母の賀状かな     福岡 弘子
雪晴の畑に突き出る棒の先       岡崎由美子
能面のふくみ笑ひや寒灯下       加藤 弥子
藍染めの法被下ろして初太鼓      大野ひろし
あら玉の紅ひく喜寿の心意気      長澤 充子
雪晴れて光の匂ふ朝かな        岡戸 良一
ちやんちやんこもう意志通す男の子   高橋 郁子
プラントの灯り煌煌年明くる      市原 久義
転けぬよう老夫(つま)と腕組む初大師 貝塚 光子
背筋から奇声飛び交ふ寒稽古      岡田須賀子

                        (清記順)

一口鑑賞連山の裏はふいごか寒夕焼」〜弥子さんの句。「ふいご(鞴)」は風を送りだして火をおこす皮製の袋。鍛冶屋や鋳物屋などが用いる。冬の連山を染める夕焼は精錬の火のように美しい。風を受けた炭火が赤々となる様子を思い浮かべてみてもいい。この句は、自然の織りなす景に「鞴」という道具をぶつけたところが巧みだ。「背筋から奇声飛び交ふ寒稽古」〜須賀子さんの句。剣道だろうか。厳しい寒さの中、剣士が稽古に励んでいる。気合とともに発する奇声が飛び交う。声はピンと伸びた背筋が聞こえてくるのだ。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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