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花暦句会報:すみだ(平成30年2月28日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点3句  
  兜太逝く
幻のおおかみ追つて春星に    岡崎由美子
針穴に春の光を通しけり     工藤 綾子
せせらぎは己を囃し温みけり   加藤 弥子

春風や楽器ケースを背に少女   岡戸 良一
逸早くこぼれ日捉へ迎春花    工藤 綾子
並ぶ人に間一髪やしずり雪    桑原さかえ
浅春や土竜の上げし土の艶    加藤 弥子
椿の枝揺らし落つるや春の雪   大野ひろし
群れ鳩の白き一羽や三月十日   岡田須賀子
花鳥となりしインコの梢に群れ  貝塚 光子
如月の光をかへす聖橋      岡崎由美子
よく笑ふ嬰の歯覗く二月尽    高橋 郁子
蒲公英や幟の傾ぐ分譲地     市原 久義
大川の水門開く水の春      長澤 充子

(清記順)

一口鑑賞針穴に春の光を通しけり」〜綾子さんの句。窓に注ぐ春の日差しを受けながら、縫い物をするところだろうか。老眼で針になかなか糸が通らないもどかしさを感じつつ、ふと光に包まれた一瞬。糸よりも先に春の光が針の穴を通ったのである。感受性豊かな作者の一句。「せせらぎは己を囃し温みけり」〜弥子さんの句。春が来た上水の散歩。立ち止まってせせらぎを見つめている。水の流れる音に意識が集中していく。まるでお囃子のように賑やかだ。こうして水が温んでいくんだという把握はお見事!(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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