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花暦句会報:連雀(平成30年4月4日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「四月馬鹿」

高点2句
  市原久義様
とく癒えよと祈るばかりや松の芯  加藤 弥子
計らずも四月馬鹿なり退院す    中島 節子

墨汁を派手にこぼして四月馬鹿   春川 園子
単線のホーム短く諸葛菜      向田 紀子
激動の昭和は彼方陽炎へる     坪井 信子
夢いかにつつむ夕べのチューリップ 加藤 弥子
万愚節恋占ひのカード切る     飯田 誠子
四月馬鹿味噌汁焦がす一人の餉   束田 央枝
白寿までただ恙なく四月馬鹿    田崎 悦子
たんぽぽ咲く空地に隣る古墳域   根本 莫生
ささめきて流れる野川猫柳     田村 君枝
父と子としやがみて何を汐干潟   中島 節子
四月馬鹿本音ちらりと透けてをり  松成 英子
水神は小振りにおはす芹の水    進藤 龍子
身のうちの目覚めうながす初音かな 横山 靖子

(清記順)

一口鑑賞とく癒えよと祈るばかりや松の芯」〜弥子さんの句。前書きの市原氏に対し、まず上五で「早く治ってください」と呼び掛けた。続けて中七で「そう祈るばかりです」と一段と強く呼び掛け、最後は「松の芯」で結んだ。松の新芽は真っ直ぐ天に向かって伸びる。この句では祈る気持ちを示すとともに、市原氏の人柄になぞらえている。沙緻師亡き後の「花暦」誌の編集を担い、句会を続ける原動力となっているのが市原氏。先ごろ不慮の交通事故に遭い、入院中。「とく癒えよ」は皆の切なる願い。「水神は小振りにおはす芹の水」〜龍子さんの句。「芹」は春の七草の一つ。お浸しにしたり、お吸い物に添えたり、ご飯に炊き込んだりして香を楽しめる。芹の生える水辺に立つ作者の目に水神が目に止まった。龍の像か、河童の像か。あるいは本物の蛇がいたのかもしれない。いずれにしてもそれを「小振り」と見て取ったのは一つの成果。さすがは大ベテランの写生句。(潔)
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艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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