花暦句会報:東陽(平成30年6月23日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「夏至」「瀬」
高点3句
瀬をのぼる容に鮎の焼かれをり 安住 正子
神木の一千年の木下闇 安住 正子
十薬や貸家の紙の新しく 堤 靖子
アメ横やケバブの匂ふ露地の朱夏 安住 正子
路地裏は昔のままや風涼し 斎田 文子
眼下の灯涼し天空レストラン 新井 洋子
夏落葉峡の早瀬に呑み込まる 岡戸 良一
水月湖のきららきららと夕涼し 貝塚 光子
祭半纏うしろ姿の男振り 飯田 誠子
瀬波立ち山夕立の来たりけり 野村えつ子
水割りの琥珀のグラス夏至の宵 長澤 充子
黙々と釣餌まるめる日焼の手 浅野 照子
老鶯や逢瀬たのしき芭蕉庵 堤 靖子
(清記順)
一口鑑賞「十薬や貸家の紙の新しく」〜靖子さんの句。玄関先に十薬が群生する家に貼られた「貸家」の紙。その紙が新しいと見て取ったところがこの句のお手柄。読み手も想像力を掻き立てられる。最近まで人が住んでいたのかもしれない。貸家にせざるを得なくなった事情はさまざまだろうが、そんなことにはおかまいなしに十薬は真っ白い花を咲かせている。空き家問題が深刻化している現代。「十薬や」という詠嘆にこの国の未来への憂いも感じられる。「黙々と釣餌まるめる日焼の手」〜照子さんの句。釣堀での一コマだろうか。だんご餌を丸める人の様子に見入っているうちに、「日焼の手」に目が止まった。もしも餌がミミズとかゴカイだったら、そうはいかなかったかもしれない。(潔)
席題「夏至」「瀬」
高点3句
瀬をのぼる容に鮎の焼かれをり 安住 正子
神木の一千年の木下闇 安住 正子
十薬や貸家の紙の新しく 堤 靖子
アメ横やケバブの匂ふ露地の朱夏 安住 正子
路地裏は昔のままや風涼し 斎田 文子
眼下の灯涼し天空レストラン 新井 洋子
夏落葉峡の早瀬に呑み込まる 岡戸 良一
水月湖のきららきららと夕涼し 貝塚 光子
祭半纏うしろ姿の男振り 飯田 誠子
瀬波立ち山夕立の来たりけり 野村えつ子
水割りの琥珀のグラス夏至の宵 長澤 充子
黙々と釣餌まるめる日焼の手 浅野 照子
老鶯や逢瀬たのしき芭蕉庵 堤 靖子
(清記順)
一口鑑賞「十薬や貸家の紙の新しく」〜靖子さんの句。玄関先に十薬が群生する家に貼られた「貸家」の紙。その紙が新しいと見て取ったところがこの句のお手柄。読み手も想像力を掻き立てられる。最近まで人が住んでいたのかもしれない。貸家にせざるを得なくなった事情はさまざまだろうが、そんなことにはおかまいなしに十薬は真っ白い花を咲かせている。空き家問題が深刻化している現代。「十薬や」という詠嘆にこの国の未来への憂いも感じられる。「黙々と釣餌まるめる日焼の手」〜照子さんの句。釣堀での一コマだろうか。だんご餌を丸める人の様子に見入っているうちに、「日焼の手」に目が止まった。もしも餌がミミズとかゴカイだったら、そうはいかなかったかもしれない。(潔)
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