花暦句会報:連雀(平成30年9月5日)
連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「食」
高点2句
飽食の芥の嵩や鵙猛る 加藤 弥子
八月果つよく水呑んでよく食つて 坪井 信子
雷雨去り町生きかへる夕餉どき 田崎 悦子
羅漢さまの笑みや怒りや竹の春 春川 園子
雲海の無音の怒涛村を吞む 横山 靖子
爽やかにランチに酌めるアペリチフ 向田 紀子
釣舟草咲くや水音引き寄せて 加藤 弥子
秋うらら嬰授かりし報せ受く 進藤 龍子
机上まで秋冷いたる亡夫の部屋 束田 央枝
塩むすび旨し花火の桟敷席 松成 英子
許されよ野の花手折り食卓に 中島 節子
湯の町の朝湯戻りや花木槿 田村 君枝
露草の瑠璃耀へり通り雨 飯田 誠子
空き缶の音をころがす芋嵐 坪井 信子
(清記順)
一口鑑賞「八月果つよく水呑んでよく食つて」〜信子さんの句。中七、下五の言い回しが見事に決まっている。今年の夏は異常な暑さに見舞われた。その暑さのことは何も言わずに、よく水を呑み、よく食べたという事実を淡々と連ねるだけで十分に説得力を生んでいる。こんな詠み方もあるのかと感心する。上五に据えた「八月果つ」が実によく利いている。「羅漢さまの笑みや怒りや竹の春」〜園子さんの句。「羅漢」は「阿羅漢」の略。仏教において煩悩を振り払い、最高の悟りを開いた聖者のことだ。最近では、江戸時代中期の絵師、伊藤若冲が下絵を描いた「五百羅漢」が人気を集めている。若冲の羅漢かどうかはともかくとして、この句は「羅漢さま」と親しみを込め、その表情に見入っている。自然災害が続く日本の現在を憂いつつ、まるで救いを求めているかのように。この句も季語「竹の春」が利いている。(潔)
兼題「食」
高点2句
飽食の芥の嵩や鵙猛る 加藤 弥子
八月果つよく水呑んでよく食つて 坪井 信子
雷雨去り町生きかへる夕餉どき 田崎 悦子
羅漢さまの笑みや怒りや竹の春 春川 園子
雲海の無音の怒涛村を吞む 横山 靖子
爽やかにランチに酌めるアペリチフ 向田 紀子
釣舟草咲くや水音引き寄せて 加藤 弥子
秋うらら嬰授かりし報せ受く 進藤 龍子
机上まで秋冷いたる亡夫の部屋 束田 央枝
塩むすび旨し花火の桟敷席 松成 英子
許されよ野の花手折り食卓に 中島 節子
湯の町の朝湯戻りや花木槿 田村 君枝
露草の瑠璃耀へり通り雨 飯田 誠子
空き缶の音をころがす芋嵐 坪井 信子
(清記順)
一口鑑賞「八月果つよく水呑んでよく食つて」〜信子さんの句。中七、下五の言い回しが見事に決まっている。今年の夏は異常な暑さに見舞われた。その暑さのことは何も言わずに、よく水を呑み、よく食べたという事実を淡々と連ねるだけで十分に説得力を生んでいる。こんな詠み方もあるのかと感心する。上五に据えた「八月果つ」が実によく利いている。「羅漢さまの笑みや怒りや竹の春」〜園子さんの句。「羅漢」は「阿羅漢」の略。仏教において煩悩を振り払い、最高の悟りを開いた聖者のことだ。最近では、江戸時代中期の絵師、伊藤若冲が下絵を描いた「五百羅漢」が人気を集めている。若冲の羅漢かどうかはともかくとして、この句は「羅漢さま」と親しみを込め、その表情に見入っている。自然災害が続く日本の現在を憂いつつ、まるで救いを求めているかのように。この句も季語「竹の春」が利いている。(潔)
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