花暦句会報:若草(平成30年9月8日)
若草句会(俳句文学館)
兼題「白露」、席題「縁」
高点2句
ほんたうは秋刀魚の旨さ知らぬ俺 松本ゆうき
縁あつて我家の庭の野紺菊 石田 政江
芋の露ふるわせ寄せて葉に遊ぶ 石田 政江
虫すだく一樹の闇を深くして 岡戸 良一
天高し白髪覗かせ野球帽 森永 則子
草原の雲の行方や吾亦紅 新井 洋子
秋の雨積ん読本の縁かな 松本ゆうき
ペン先の影の濃淡白露の夜 坪井 信子
老僧の居住ひ正す白露かな 廣田 健二
血を舐めて鉄の味する白露かな 山本 潔
献血に年齢制限鳥渡る 加藤 弥子
ゆらゆらと白露の朝に瞑すべし 沢渡 梢
鳩車机上の白の露めきて 飯田 誠子
(清記順)
一口鑑賞「ほんたうは秋刀魚の旨さ知らぬ俺」〜ゆうきさんの句。今回、ゲストとして初参加し、いきなり最高点に輝いた。秋刀魚は秋の味覚の一つ。その美味しさや、焼き方、焼かれ方などを詠んだ句はよく目にするが、「旨さを知らぬ」という告白に意表を突かれる。子どもの頃から、秋刀魚を食べる習慣があまりなかったらしいが、この句は「旨さを知らぬ」と詠むことで、返ってその「旨さ」を引き立たせている。諧謔的な味が乗った一句。「ゆらゆらと白露の朝に瞑すべし」〜もう一人のゲスト、梢さんの一句。「ゆらゆらと」は「急がず、ゆっくりと」の意。下五の「瞑すべし」にかかる。兼題を詠み込み、「ゆっくり白露の朝に往生したい」という死生観に結びつけた。ゆったりとした調べは作者の持ち味。「ゆふらりと月綻んで水鏡」は梢さんの第一句集「たひらかに」(蒼穹社)から引いた。(潔)
兼題「白露」、席題「縁」
高点2句
ほんたうは秋刀魚の旨さ知らぬ俺 松本ゆうき
縁あつて我家の庭の野紺菊 石田 政江
芋の露ふるわせ寄せて葉に遊ぶ 石田 政江
虫すだく一樹の闇を深くして 岡戸 良一
天高し白髪覗かせ野球帽 森永 則子
草原の雲の行方や吾亦紅 新井 洋子
秋の雨積ん読本の縁かな 松本ゆうき
ペン先の影の濃淡白露の夜 坪井 信子
老僧の居住ひ正す白露かな 廣田 健二
血を舐めて鉄の味する白露かな 山本 潔
献血に年齢制限鳥渡る 加藤 弥子
ゆらゆらと白露の朝に瞑すべし 沢渡 梢
鳩車机上の白の露めきて 飯田 誠子
(清記順)
一口鑑賞「ほんたうは秋刀魚の旨さ知らぬ俺」〜ゆうきさんの句。今回、ゲストとして初参加し、いきなり最高点に輝いた。秋刀魚は秋の味覚の一つ。その美味しさや、焼き方、焼かれ方などを詠んだ句はよく目にするが、「旨さを知らぬ」という告白に意表を突かれる。子どもの頃から、秋刀魚を食べる習慣があまりなかったらしいが、この句は「旨さを知らぬ」と詠むことで、返ってその「旨さ」を引き立たせている。諧謔的な味が乗った一句。「ゆらゆらと白露の朝に瞑すべし」〜もう一人のゲスト、梢さんの一句。「ゆらゆらと」は「急がず、ゆっくりと」の意。下五の「瞑すべし」にかかる。兼題を詠み込み、「ゆっくり白露の朝に往生したい」という死生観に結びつけた。ゆったりとした調べは作者の持ち味。「ゆふらりと月綻んで水鏡」は梢さんの第一句集「たひらかに」(蒼穹社)から引いた。(潔)
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