花暦句会報:東陽(平成30年9月24日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「月」一切、「芒」
高点2句
新米を研ぐそれだけの今日の幸 岡崎由美子
芒野に溺れ少年不登校 沢渡 梢
白萩のこぼれて恋の路となり 廣田 健二
タワーマンションの光こぼれる無月かな 堤 靖子
夕すすき漢の匂ひ込めし鉱山(やま) 浅野 照子
草雲雀ただ寝に帰る母の家 山本 潔
秋草を束ねて壺へ日の匂ひ 長澤 充子
公園をはみだしてゐる虫時雨 飯田 誠子
雲去来して水の澄む山上湖 斎田 文子
陸揚げの秋刀魚や海をしたたらせ 新井 洋子
爽涼や二人暮しの寿司握る 貝塚 光子
月明や直方体の倉庫群 岡崎由美子
月へ旅なんて些かはしやぎすぎ 沢渡 梢
(清記順)
一口鑑賞「新米を研ぐそれだけの今日の幸」〜由美子さんの句。日本人にとって、新米は特別な意味を持っている。なぜなら、新米は五穀豊穣の象徴であり、1年の食糧が確保できたという安心の証だからだ。食生活の欧米化でコメの消費量は激減しているが、秋になればスーパーには「新米入荷」の幟が立つ。そんな新米を研ぐことに作者は無上の喜びを感じている。日常の一コマを巧みに詠んだ一句。「新米といふよろこびのかすかなり」は飯田龍太の句。「白萩のこぼれて恋の路となり」〜健二さんの句。萩は日本の秋を代表する花であり、公園や遊歩道などでよく目にする。萩が風に揺れる景色は風情がある。白萩の花言葉は「思案」。その白さは清らかさの象徴でもある。揚句は恋の句として詠まれているが、作者自身のことではなさそうだ。若いカップルが通り過ぎた白萩の小道。それを眺めながら、若かりしころの自分と重ね合わせているのかもしれない。(潔)
席題「月」一切、「芒」
高点2句
新米を研ぐそれだけの今日の幸 岡崎由美子
芒野に溺れ少年不登校 沢渡 梢
白萩のこぼれて恋の路となり 廣田 健二
タワーマンションの光こぼれる無月かな 堤 靖子
夕すすき漢の匂ひ込めし鉱山(やま) 浅野 照子
草雲雀ただ寝に帰る母の家 山本 潔
秋草を束ねて壺へ日の匂ひ 長澤 充子
公園をはみだしてゐる虫時雨 飯田 誠子
雲去来して水の澄む山上湖 斎田 文子
陸揚げの秋刀魚や海をしたたらせ 新井 洋子
爽涼や二人暮しの寿司握る 貝塚 光子
月明や直方体の倉庫群 岡崎由美子
月へ旅なんて些かはしやぎすぎ 沢渡 梢
(清記順)
一口鑑賞「新米を研ぐそれだけの今日の幸」〜由美子さんの句。日本人にとって、新米は特別な意味を持っている。なぜなら、新米は五穀豊穣の象徴であり、1年の食糧が確保できたという安心の証だからだ。食生活の欧米化でコメの消費量は激減しているが、秋になればスーパーには「新米入荷」の幟が立つ。そんな新米を研ぐことに作者は無上の喜びを感じている。日常の一コマを巧みに詠んだ一句。「新米といふよろこびのかすかなり」は飯田龍太の句。「白萩のこぼれて恋の路となり」〜健二さんの句。萩は日本の秋を代表する花であり、公園や遊歩道などでよく目にする。萩が風に揺れる景色は風情がある。白萩の花言葉は「思案」。その白さは清らかさの象徴でもある。揚句は恋の句として詠まれているが、作者自身のことではなさそうだ。若いカップルが通り過ぎた白萩の小道。それを眺めながら、若かりしころの自分と重ね合わせているのかもしれない。(潔)
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