花暦句会報:すみだ(平成30年10月23日)
すみだ句会(すみだ産業会館)
高点2句
余生なほ炎ゆるいろ欲し鶏頭花 加藤 弥子
空よりも地のぬくもりに秋の蝶 岡崎由美子
色鳥やはじめ冷たき木椅子の背 加藤 弥子
十三夜庭にをさなの忘れ物 岡崎由美子
跡地いま自然に帰り草の絮 岡戸 良一
木道に弾む靴音初紅葉 長澤 充子
治癒を待つ厨の隅の新走り 貝塚 光子
母何時か子の名を忘れ赤とんぼ 工藤 綾子
剥落の萬年橋や秋暮るる 高橋 郁子
町外れの無人交番神無月 桑原さかえ
(清記順)
一口鑑賞「余生なほ炎ゆるいろ欲し鶏頭花」〜弥子さんの句。深紅の鶏頭花はまさに燃え上がる炎の色。余生と呼ぶべき年齢に入っていることを自覚しながら、なおも「炎ゆるいろ欲し」とは、生への執着を詠んだ句と言っていい。一日一日を大事に生きている作者だからこそ、鶏頭花の色が切ないくらいに愛おしいのではないか。そんな気持ちを素直に詠める俳句っていいなぁと思う。「空よりも地のぬくもりに秋の蝶」〜由美子さんの句。花壇か畑の土の上だろうか。秋の蝶がじっと止まっている。何だか心地良さそうな蝶の様子を眺めていると、地の温もりが感じられてくるようだ。うっかり空へ舞い上がれば、そこはもう冬の空気かもしれない。もうしばらくの間、秋の蝶でいたいと思っているのは作者自身に違いない。(潔)
高点2句
余生なほ炎ゆるいろ欲し鶏頭花 加藤 弥子
空よりも地のぬくもりに秋の蝶 岡崎由美子
色鳥やはじめ冷たき木椅子の背 加藤 弥子
十三夜庭にをさなの忘れ物 岡崎由美子
跡地いま自然に帰り草の絮 岡戸 良一
木道に弾む靴音初紅葉 長澤 充子
治癒を待つ厨の隅の新走り 貝塚 光子
母何時か子の名を忘れ赤とんぼ 工藤 綾子
剥落の萬年橋や秋暮るる 高橋 郁子
町外れの無人交番神無月 桑原さかえ
(清記順)
一口鑑賞「余生なほ炎ゆるいろ欲し鶏頭花」〜弥子さんの句。深紅の鶏頭花はまさに燃え上がる炎の色。余生と呼ぶべき年齢に入っていることを自覚しながら、なおも「炎ゆるいろ欲し」とは、生への執着を詠んだ句と言っていい。一日一日を大事に生きている作者だからこそ、鶏頭花の色が切ないくらいに愛おしいのではないか。そんな気持ちを素直に詠める俳句っていいなぁと思う。「空よりも地のぬくもりに秋の蝶」〜由美子さんの句。花壇か畑の土の上だろうか。秋の蝶がじっと止まっている。何だか心地良さそうな蝶の様子を眺めていると、地の温もりが感じられてくるようだ。うっかり空へ舞い上がれば、そこはもう冬の空気かもしれない。もうしばらくの間、秋の蝶でいたいと思っているのは作者自身に違いない。(潔)
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