花暦句会報:風の会(平成30年11月3日)
谷津バラ園、谷津干潟吟行(句会場:「日本海庄や」船橋南口店)
高点2句
秋澄むや陰影もたぬ裸婦の像 森永 則子
秋風や鳥に嫌はる杭ひとつ 岡崎由美子
大鉢のベルサイユの薔薇枯れ果つる 沢渡 梢
塩害の樹々の合間を秋の蝶 山本 潔
日輪へ光を返す残り鷺 針谷 栄子
立ち尽くす鷺晩秋の潮満ち来 森永 則子
晩秋の水面に映る鷺の影 廣田 健二
文化の日新種の薔薇の香の強く 岡戸 良一
白昼の翅の重たき秋の蝶 岡崎由美子
(清記順)
【吟行報告】秋晴れとなった文化の日。お昼前に京成線谷津駅に集合。幹事さんが人気店の串団子を購入し、商店街を抜けて谷津バラ園へ。10月の台風24号による塩害で、バラ園前の銀杏は無惨にも海側の葉が枯れていた。「塩害の樹々の合間を秋の蝶」(潔)。季節は秋と冬の境目。「大鉢のベルサイユの薔薇枯れ果つる」(梢)、「文化の日新種の薔薇の香の強く」(良一)。薔薇は夏の季語だが、今の季感を大事に、工夫しながら詠む。「秋澄むや陰影もたぬ裸婦の像」(則子)は園内の白い塑造を観察して詠んだ一句。「陰影もたぬ」という把握がお見事。干潟では白鷺や青鷺、鴫、鴨たちが羽を休めている。我々もお団子をいただいて一休み。それぞれの目に映る様子を言葉にしていく。「日輪へ光を返す残り鷺」(栄子)、「立ち尽くす鷺晩秋の潮満ち来」(則子)、「晩秋の水面に映る鷺の影」(健二)。鳥を詠む句が多くなる中、異彩を放ったのは次の一句。「秋風や鳥に嫌はる杭ひとつ」(由美子)。鳥ではなく、杭に焦点を当てた。季語の斡旋も絶妙。「白昼の翅の重たき秋の蝶」(由美子)も同じ作者。遊歩道の垣根の上に羽を広げていた大きな黒揚羽が、重そうに舞い上がったのを見逃さなかった。(潔)
高点2句
秋澄むや陰影もたぬ裸婦の像 森永 則子
秋風や鳥に嫌はる杭ひとつ 岡崎由美子
大鉢のベルサイユの薔薇枯れ果つる 沢渡 梢
塩害の樹々の合間を秋の蝶 山本 潔
日輪へ光を返す残り鷺 針谷 栄子
立ち尽くす鷺晩秋の潮満ち来 森永 則子
晩秋の水面に映る鷺の影 廣田 健二
文化の日新種の薔薇の香の強く 岡戸 良一
白昼の翅の重たき秋の蝶 岡崎由美子
(清記順)
【吟行報告】秋晴れとなった文化の日。お昼前に京成線谷津駅に集合。幹事さんが人気店の串団子を購入し、商店街を抜けて谷津バラ園へ。10月の台風24号による塩害で、バラ園前の銀杏は無惨にも海側の葉が枯れていた。「塩害の樹々の合間を秋の蝶」(潔)。季節は秋と冬の境目。「大鉢のベルサイユの薔薇枯れ果つる」(梢)、「文化の日新種の薔薇の香の強く」(良一)。薔薇は夏の季語だが、今の季感を大事に、工夫しながら詠む。「秋澄むや陰影もたぬ裸婦の像」(則子)は園内の白い塑造を観察して詠んだ一句。「陰影もたぬ」という把握がお見事。干潟では白鷺や青鷺、鴫、鴨たちが羽を休めている。我々もお団子をいただいて一休み。それぞれの目に映る様子を言葉にしていく。「日輪へ光を返す残り鷺」(栄子)、「立ち尽くす鷺晩秋の潮満ち来」(則子)、「晩秋の水面に映る鷺の影」(健二)。鳥を詠む句が多くなる中、異彩を放ったのは次の一句。「秋風や鳥に嫌はる杭ひとつ」(由美子)。鳥ではなく、杭に焦点を当てた。季語の斡旋も絶妙。「白昼の翅の重たき秋の蝶」(由美子)も同じ作者。遊歩道の垣根の上に羽を広げていた大きな黒揚羽が、重そうに舞い上がったのを見逃さなかった。(潔)
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