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花暦句会報:東陽(平成30年11月23日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「赤」「勤労感謝の日」

高点5句
悟りきる姿となりて枯蓮      野村えつ子
裸灯を揺らして下ろす大熊手    野村えつ子
緋の色の舞妓の蹴出し小春空    長澤 充子
山茶花の昨日の色を掃きにけり   安住 正子
しりとりでバス待つ父と子に小春  沢渡  梢

初霜や産みたて卵手にぬくき    安住 正子
赤帯の老師の眼冬稽古       岡戸 良一
仔犬の耳紅く透けをり小六月    浅野 照子
温湿布目蓋に勤労感謝の日     沢渡  梢
冬の日を撥ね谷川の万華鏡     新井 洋子
心地好き声耳元に帰り花      長澤 充子
芭蕉忌やはちきれさうな旅鞄    野村えつ子
絵手紙を描き勤労感謝の日     山本  潔

(清記順)

一口鑑賞緋の色の舞妓の蹴出し小春空」〜充子さんの句。作者は最近、京都旅行をしてきた。席題「赤」で咄嗟に舞妓さんの姿を思い浮かべたのだろう。「蹴出し」は、着物の裾を上げて歩くとき腰巻が露わになるのを避けるために重ね着る。小春空の下、舞妓さんが橋を渡る姿を目に浮かべてみよう。緋色の「蹴出し」にリアリズムがにじみ出ている。「温湿布目蓋に勤労感謝の日」〜梢さんの句。あと半年も経たないうちに平成の世が終わる。現代における労働の変化を考えたときに、これほど目を酷使する時代はかつてなかったのではないか。パソコンやスマートフォンの普及で我々は目を酷使している。今日において「勤労感謝」とは、突き詰めれば目を労わることに他ならない。揚出句の「温湿布目蓋に」は、まさにそんな一面を言い当てている。次の時代もこの流れは変わりそうにないが…。(潔)
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Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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