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花暦句会報:若草(平成31年1月12日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「餅花、繭玉」、席題「熱」

高点3句
風のほかまとふものなし枯芙蓉   坪井 信子
餅花や鴨居に父と母の額      新井 洋子
冬ぬくし鳩の形のビスケット    飯田 誠子

スクラムの底よりラガー等の熱気  坪井 信子
平成の次も幸あれ餅の花      山本  潔
「タマ」といふ猫の卒塔婆冬の菊  廣田 健二
ビューティーサロン鏡の中の冬薔薇 石田 政江
気掛かりな一言添へて賀状来る   沢渡  梢
熱帯びる女ばかりの福笑      針谷 栄子
冬籠広き世間を狭くして      新井 洋子
一期一会寒雀とていとほしや    加藤 弥子
餅花やどこか寂しき母の里     松本ゆうき
餅花の先の小判や風の音      飯田 誠子
餅花や女系家族の母の郷      岡戸 良一

(清記順)

一口鑑賞餅花や鴨居に父と母の額」〜洋子さんの句。「餅花」は小正月の飾り物。柳や榎などの枝に小さくちぎった餅を花のようにつけて高いところに飾り、豊作を祈る。この句では、餅花を飾った近くの鴨居に父と母の額が掛かっているのである。ほのぼのとした家族を思わせる光景だ。「父と母の額」と言っただけで余計な説明をしていないところがいい。読み手に想像させるのも俳句。洋風化で鴨居のない家も多くなったが、最近は餅の花をあしらった素敵なアレンジメントも売っている。「『タマ』といふ猫の卒塔婆冬の菊」〜健二さんの句。墨田区両国の回向院(えこういん)を吟行しての作。ここには人に限らず、「全ての生あるものを供養する」という理念から、犬猫や小鳥などの供養塔がある。卒塔婆に記された数々のペットの名前の中でも「タマ」は猫の代表格。作者にも思い入れのある名前なのだろう。供養塔には菊をはじめたくさんの花が供えられていたはずだ。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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