花暦句会報:東陽(平成31年3月23日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「朧」「線」
高点3句
単線の電車来ぬ間の恋雀 岡崎由美子
街朧かつて名画座ありし角 野村えつ子
銀河鉄道一直線につばくらめ 浅野 照子
わが夢の遠ざかりゆく朧かな 岡戸 良一
園おぼろ岩に顎乗せ河馬睡る 新井 洋子
朧月「徂徠」「去来」は同じ意味 松本ゆうき
桜咲く小さき山にも神在す 野村えつ子
ガキ大将たりし友逝き春の星 岡崎由美子
明治座のはねて大川夕おぼろ 安住 正子
ひこばえや大空襲の語り部に 浅野 照子
沈丁の香の路地近く救急車 堤 靖子
ひとところ紅のはなやぐ初桜 飯田 誠子
曲がり切る都電の線路桜山 長澤 充子
子の家族見送る街の夕朧 斎田 文子
蛇口換える夫の奮闘うららけし 貝塚 光子
三味線の外す一音鳥雲に 山本 潔
(清記順)
一口鑑賞「単線の電車来ぬ間の恋雀」〜由美子さんの句。席題「線」で詠まれた句だが、旅先での一コマを巧みに描いている。ローカル線の電車を待つ作者の前に現れた雀たち。雄が雌を追いかけるようにやってきたのだろう。春から初夏にかけて鳥は繁殖期を迎える。雄は雌の気を引こうとさまざまな仕種をする。それをじっと観察している作者の表情も含め、何とも微笑ましい光景だ。上五と中七で脚韻を踏み、言葉がリズミカルに流れた先に登場する「恋雀」に詩情が溢れる。「沈丁の香の路地近く救急車」〜靖子さんの句。沈丁花の香る路地。ふだんはのどかなはずの下町の空間に、救急車が来ているのである。作者の胸にちょっとした緊張が走る。決して珍しいことではないが、赤いランプや担架を運ぶ救急隊員の動きまで見えてくるようだ。沈丁の甘く強い香りに対し、非日常的な救急車をぶつけたことにより、読み手の想像力を掻き立てる。(潔)
席題「朧」「線」
高点3句
単線の電車来ぬ間の恋雀 岡崎由美子
街朧かつて名画座ありし角 野村えつ子
銀河鉄道一直線につばくらめ 浅野 照子
わが夢の遠ざかりゆく朧かな 岡戸 良一
園おぼろ岩に顎乗せ河馬睡る 新井 洋子
朧月「徂徠」「去来」は同じ意味 松本ゆうき
桜咲く小さき山にも神在す 野村えつ子
ガキ大将たりし友逝き春の星 岡崎由美子
明治座のはねて大川夕おぼろ 安住 正子
ひこばえや大空襲の語り部に 浅野 照子
沈丁の香の路地近く救急車 堤 靖子
ひとところ紅のはなやぐ初桜 飯田 誠子
曲がり切る都電の線路桜山 長澤 充子
子の家族見送る街の夕朧 斎田 文子
蛇口換える夫の奮闘うららけし 貝塚 光子
三味線の外す一音鳥雲に 山本 潔
(清記順)
一口鑑賞「単線の電車来ぬ間の恋雀」〜由美子さんの句。席題「線」で詠まれた句だが、旅先での一コマを巧みに描いている。ローカル線の電車を待つ作者の前に現れた雀たち。雄が雌を追いかけるようにやってきたのだろう。春から初夏にかけて鳥は繁殖期を迎える。雄は雌の気を引こうとさまざまな仕種をする。それをじっと観察している作者の表情も含め、何とも微笑ましい光景だ。上五と中七で脚韻を踏み、言葉がリズミカルに流れた先に登場する「恋雀」に詩情が溢れる。「沈丁の香の路地近く救急車」〜靖子さんの句。沈丁花の香る路地。ふだんはのどかなはずの下町の空間に、救急車が来ているのである。作者の胸にちょっとした緊張が走る。決して珍しいことではないが、赤いランプや担架を運ぶ救急隊員の動きまで見えてくるようだ。沈丁の甘く強い香りに対し、非日常的な救急車をぶつけたことにより、読み手の想像力を掻き立てる。(潔)
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