花暦句会報:若草(令和元年5月11日)
若草句会(俳句文学館)
兼題「筍」、席題「由」
高点3句
竹の子をざつくばらんに煮てひとり 山本 潔
筍を抱く獣の仔のやうに 市原 久義
おいしいおすえとたかんなのつぶやいて 坪井 信子
江戸からの由来ある坂花は葉に 沢渡 梢
傘雨忌や工事長引く神田川 岡戸 良一
雨上がり今朝は令和の新樹光 市原 久義
紫を解いて葡萄の芽吹きけり 石田 政江
黒南風や鴉が襲ふ由比ヶ浜 山本 潔
なによりの友の笑顔や若葉風 加藤 弥子
今年竹一本立ちに手を出さず 飯田 誠子
これやこの筍御膳頂きぬ 廣田 健二
カーネーション嫁との距離のあと一歩 新井 洋子
河童らの好きな夏場所来たりけり 坪井 信子
(清記順)
一口鑑賞「筍を抱く獣の仔のやうに」〜久義さんの句。筍は初夏の味わいとして格別なものがある。筍ごはんはもちろんのこと、若芽と炊き合わせた若竹煮、土佐煮、天ぷらなど、いろいろ楽しめる。この句はそんな筍を「獣の仔」に見立てたところが面白い。確かに、皮の色や土がまだ付いている筍は得体の知れない珍獣のように見える。作者によれば、「筍の湿り気や土の香、重さ、手触りなどを思い浮かべながら形容した」という。この日は「持ち帰る筍赤子抱くやうに」(新井洋子)との句もあったが、「獣の仔」の方に人気が集まった。「紫を解いて葡萄の芽吹きけり」〜政江さんの句。葡萄は4月下旬ごろから芽吹き始める。芽の先端は綺麗な紫色をしていて、それがほぐれるとどんどん伸びて枝になり、やがて房を付ける。近所に葡萄園でもない限り、我々が芽吹きを目にする機会はなかなかない。作者は、自宅に葡萄棚を作り、その生長を日頃からよく観察しているのだろう。その芽吹きの美しさに感動した気持ちを込めた一句。(潔)
兼題「筍」、席題「由」
高点3句
竹の子をざつくばらんに煮てひとり 山本 潔
筍を抱く獣の仔のやうに 市原 久義
おいしいおすえとたかんなのつぶやいて 坪井 信子
江戸からの由来ある坂花は葉に 沢渡 梢
傘雨忌や工事長引く神田川 岡戸 良一
雨上がり今朝は令和の新樹光 市原 久義
紫を解いて葡萄の芽吹きけり 石田 政江
黒南風や鴉が襲ふ由比ヶ浜 山本 潔
なによりの友の笑顔や若葉風 加藤 弥子
今年竹一本立ちに手を出さず 飯田 誠子
これやこの筍御膳頂きぬ 廣田 健二
カーネーション嫁との距離のあと一歩 新井 洋子
河童らの好きな夏場所来たりけり 坪井 信子
(清記順)
一口鑑賞「筍を抱く獣の仔のやうに」〜久義さんの句。筍は初夏の味わいとして格別なものがある。筍ごはんはもちろんのこと、若芽と炊き合わせた若竹煮、土佐煮、天ぷらなど、いろいろ楽しめる。この句はそんな筍を「獣の仔」に見立てたところが面白い。確かに、皮の色や土がまだ付いている筍は得体の知れない珍獣のように見える。作者によれば、「筍の湿り気や土の香、重さ、手触りなどを思い浮かべながら形容した」という。この日は「持ち帰る筍赤子抱くやうに」(新井洋子)との句もあったが、「獣の仔」の方に人気が集まった。「紫を解いて葡萄の芽吹きけり」〜政江さんの句。葡萄は4月下旬ごろから芽吹き始める。芽の先端は綺麗な紫色をしていて、それがほぐれるとどんどん伸びて枝になり、やがて房を付ける。近所に葡萄園でもない限り、我々が芽吹きを目にする機会はなかなかない。作者は、自宅に葡萄棚を作り、その生長を日頃からよく観察しているのだろう。その芽吹きの美しさに感動した気持ちを込めた一句。(潔)
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