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花暦句会報:東陽(令和元年5月26日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「片蔭」「石」

高点3句
日輪の溺るるほどに田水張る     野村えつ子
腰下ろす磐石を得る片かげり     野村えつ子
ゴムホースの塒をといて夏の芝    堤  靖子

対向の人とぶつかる片陰り      斎田 文子
緋牡丹に疲れたる目に白牡丹     新井 洋子
老鶯の長啼く谷の深さかな      長澤 充子
片陰や捨鶏鬨の声挙ぐる       安住 正子
遠き日の鄙の通ひ路麦の秋      岡戸 良一
肩胛骨ぐるりと回す初夏となる    貝塚 光子
焼け石に水の話や蕎麦焼酎      山本  潔
戯れに石積む川原半夏生       岡崎由美子
支へ合ふ二人の暮し冷蔵庫      野村えつ子
蟻走るシルクロードの狼煙台     浅野 照子
かたつむり急ぐことなき老いの日々  堤  靖子
観覧車港も煙る薔薇の雨       飯田 誠子

(清記順)

一口鑑賞腰下ろす磐石を得る片かげり」〜えつ子さんの句。席題「片蔭」「石」の両方を詠み込んだ。磐石というからには、しっかりとした大きな石がそこにあるはずだ。触ればひんやりとしている。炎天下にあっても片蔭は道行く人の憩いの場となる。都会では庭園でもこんな石のある場所を見つけるのはなかなか難しい。山歩きの好きな作者には、自然の中に思い当たる格好の片蔭があるのだろう。「腰下ろす磐石」「磐石を得る」という把握がお見事!「支へ合ふ二人の暮し冷蔵庫」〜これもえつ子さんの句。さりげない詠みっぷりの中に、仲睦まじい夫婦の姿が思い浮かぶ。食生活の中心にある冷蔵庫を媒介として、二人の会話も聞こえてきそうだ。(潔)
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Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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