艸句会報:すみだ(令和元年7月24日)
すみだ句会(すみだ産業会館)
席題「晩夏」
高点3句
籐籠の縁のほつれや晩夏光 岡崎由美子
天の底抜けて一気に梅雨滂沱 工藤 綾子
海峡を行き交ふ船や晩夏光 長澤 充子
席譲る外つ国青年季夏の午後 工藤 綾子
庫裏に引く山の湧水冷奴 福岡 弘子
愚痴聞いてもらふ姉ゐて心太 岡崎由美子
山登り声をかけあふ九十九折 桑原さかえ
竹林の隙間を揺らす晩夏光 大浦 弘子
砂丘より晩夏の夕日望の海 長澤 充子
住み古りて親しき友の逝き晩夏 貝塚 光子
朝顔や町工場の樋の錆 高橋 郁子
芭蕉像の遠き眼差し晩夏光 岡戸 良一
(清記順)
一口鑑賞「海峡を行き交ふ船や晩夏光」〜充子さんの句。一読してすっと映像が立ち上がる。夏の終わりの海峡をゆっくりと行き交う船はキラキラ輝いている。しかし、その光は決して強くはない。どこか翳りを感じさせる心象風景を思わせるのは、「晩夏光(ばんかこう)」という言葉の響きに身を委ね、シンプルに詠んだからだろう。「朝顔や町工場の樋の錆」〜郁子さんの句。金属加工や機械部品の町工場だろうか。かつての日本の経済成長を支えた町工場だが、後継者不足や宅地化の進展などにより、急速に姿を消した。この句は今も残る町工場を詠んだ一句。今年も朝顔が咲き、雨樋にも蔓が絡んでいる。ふと気づいた雨樋の錆が時の流れを感じさせる。朝顔は夏のうちから咲き始めるが、秋の季語。町工場と朝顔の取り合わせが上手い。(潔)
席題「晩夏」
高点3句
籐籠の縁のほつれや晩夏光 岡崎由美子
天の底抜けて一気に梅雨滂沱 工藤 綾子
海峡を行き交ふ船や晩夏光 長澤 充子
席譲る外つ国青年季夏の午後 工藤 綾子
庫裏に引く山の湧水冷奴 福岡 弘子
愚痴聞いてもらふ姉ゐて心太 岡崎由美子
山登り声をかけあふ九十九折 桑原さかえ
竹林の隙間を揺らす晩夏光 大浦 弘子
砂丘より晩夏の夕日望の海 長澤 充子
住み古りて親しき友の逝き晩夏 貝塚 光子
朝顔や町工場の樋の錆 高橋 郁子
芭蕉像の遠き眼差し晩夏光 岡戸 良一
(清記順)
一口鑑賞「海峡を行き交ふ船や晩夏光」〜充子さんの句。一読してすっと映像が立ち上がる。夏の終わりの海峡をゆっくりと行き交う船はキラキラ輝いている。しかし、その光は決して強くはない。どこか翳りを感じさせる心象風景を思わせるのは、「晩夏光(ばんかこう)」という言葉の響きに身を委ね、シンプルに詠んだからだろう。「朝顔や町工場の樋の錆」〜郁子さんの句。金属加工や機械部品の町工場だろうか。かつての日本の経済成長を支えた町工場だが、後継者不足や宅地化の進展などにより、急速に姿を消した。この句は今も残る町工場を詠んだ一句。今年も朝顔が咲き、雨樋にも蔓が絡んでいる。ふと気づいた雨樋の錆が時の流れを感じさせる。朝顔は夏のうちから咲き始めるが、秋の季語。町工場と朝顔の取り合わせが上手い。(潔)
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