艸句会報:東陽(令和元年7月27日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「かき氷」「問」
高点2句
ネット越す部活の恋は炎天下 浅野 照子
問題集とけぬよ溶けるかき氷 野村えつ子
斧冷し問ふAIの未来の世 浅野 照子
硝子器にふんわり積るかき氷 長澤 充子
思ひ出は物に寄りそふ夜の秋 堤 やすこ
身の丈の幸せ問へり藍浴衣 貝塚 光子
梅雨明けてビル鋭角を取りもどす 野村えつ子
草原の葉擦れ涼しき風の歌 新井 洋子
浴衣着て「うつ」の字を問ふ女かな 松本ゆうき
麦飯や問はず語りの師の眼 岡崎由美子
下町の打水に寄る雀かな 斎田 文子
緑蔭に影を消したる子どもたち 山本 潔
幸せかと問うてもみたき水中花 岡戸 良一
瀬明かりに解禁を待つ鮎の宿 飯田 誠子
地ビールのうんちく長き縄のれん 安住 正子
蜜豆や母のトリセツ作成中 小泉 裕子
(清記順)
一口鑑賞「下町の打水に寄る雀かな」〜文子さんの句。「下町の打水」で読み手には夏の夕方の涼しそうな景が浮かぶ。打水を待っていたかのように現れたのが雀。この句は、目の前の雀を可愛がる作者の表情まで見えてくる。下五の「雀かな」という切れが成功しているからだろう。句会では「何でもないシーンを端的に描けている」と好評だった。眼前の一瞬の景を切り取ること。それが俳句。「蜜豆や母のトリセツ作成中」〜裕子さんは句会初参加。「トリセツ」は最近の流行語のような印象があるが、広辞苑には「とり-せつ【取説】『取扱い説明書』の略」とある。認知症が進んでいるという母親の介護に苦労している作者。「トリセツ作成中」とは尋常ではない。精神的にも大変そうだが、夏の季語「蜜豆」との取り合わせによって明るく詠んだ。俳句は心の支えになっている。(潔)
席題「かき氷」「問」
高点2句
ネット越す部活の恋は炎天下 浅野 照子
問題集とけぬよ溶けるかき氷 野村えつ子
斧冷し問ふAIの未来の世 浅野 照子
硝子器にふんわり積るかき氷 長澤 充子
思ひ出は物に寄りそふ夜の秋 堤 やすこ
身の丈の幸せ問へり藍浴衣 貝塚 光子
梅雨明けてビル鋭角を取りもどす 野村えつ子
草原の葉擦れ涼しき風の歌 新井 洋子
浴衣着て「うつ」の字を問ふ女かな 松本ゆうき
麦飯や問はず語りの師の眼 岡崎由美子
下町の打水に寄る雀かな 斎田 文子
緑蔭に影を消したる子どもたち 山本 潔
幸せかと問うてもみたき水中花 岡戸 良一
瀬明かりに解禁を待つ鮎の宿 飯田 誠子
地ビールのうんちく長き縄のれん 安住 正子
蜜豆や母のトリセツ作成中 小泉 裕子
(清記順)
一口鑑賞「下町の打水に寄る雀かな」〜文子さんの句。「下町の打水」で読み手には夏の夕方の涼しそうな景が浮かぶ。打水を待っていたかのように現れたのが雀。この句は、目の前の雀を可愛がる作者の表情まで見えてくる。下五の「雀かな」という切れが成功しているからだろう。句会では「何でもないシーンを端的に描けている」と好評だった。眼前の一瞬の景を切り取ること。それが俳句。「蜜豆や母のトリセツ作成中」〜裕子さんは句会初参加。「トリセツ」は最近の流行語のような印象があるが、広辞苑には「とり-せつ【取説】『取扱い説明書』の略」とある。認知症が進んでいるという母親の介護に苦労している作者。「トリセツ作成中」とは尋常ではない。精神的にも大変そうだが、夏の季語「蜜豆」との取り合わせによって明るく詠んだ。俳句は心の支えになっている。(潔)
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