艸句会報:東陽(令和元年8月24日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「蜻蛉」「一」
高点1句
新盆やノートに残る母の短歌(うた) 松本ゆうき
一日の終りは祈りいぼむしり 堤 やすこ
震度三ぐらいじや止まぬ盆踊 浅野 照子
出店の灯消ゆる「そらまち」虫集く 長澤 充子
自販機のどんと缶吐く残暑かな 野村えつ子
読み難き碑に蜻蛉の臀呫(となめ)かな 安住 正子
安住正子にとんぼのとまる七尾線 山本 潔
桃を描く桃の香りを色にして 新井 洋子
流燈会五山の一字消えてより 岡戸 良一
ビー玉を透かして八月の宇宙 隣 安
いづこより童湧きしか盆踊 松本ゆうき
吊りてすぐおけさ風鈴おどり出す 飯田 誠子
言へさうで言へぬ一言いなびかり 岡崎由美子
一行の追伸うれし夏見舞 斎田 文子
(清記順)
一口鑑賞「新盆やノートに残る母の短歌(うた)」〜ゆうきさんの句。昨年、お母さまを亡くした作者。このお盆は故郷の宇和島で過ごし、改めて在りし日の母を偲ぶ機会になったようだ。お母さまは地元の文化賞も受賞された歌人。<寂しさは独りの食事整えて「いただきます」と箸を取る刻(とき)><ゆく夏を惜しむごと鳴く蜩がひとりのわれを急かす夕暮れ>。この2首はお母さまの生前、ゆうきさんが編纂した「うちうみ 松本榮歌集」から引いた。「震度三ぐらいじや止まぬ盆踊」〜照子さんの句。句意は明瞭だ。東日本大震災からもうすぐ8年半。大地震はいつ起こってもおかしくないが、恐れているばかりでは何もできない。この夏、東京でも盆踊の最中に震度3の揺れがあったが、中断されるようなことはなかった。この句は地震と盆踊りという組み合わせに現代性が感じられる。(潔)
席題「蜻蛉」「一」
高点1句
新盆やノートに残る母の短歌(うた) 松本ゆうき
一日の終りは祈りいぼむしり 堤 やすこ
震度三ぐらいじや止まぬ盆踊 浅野 照子
出店の灯消ゆる「そらまち」虫集く 長澤 充子
自販機のどんと缶吐く残暑かな 野村えつ子
読み難き碑に蜻蛉の臀呫(となめ)かな 安住 正子
安住正子にとんぼのとまる七尾線 山本 潔
桃を描く桃の香りを色にして 新井 洋子
流燈会五山の一字消えてより 岡戸 良一
ビー玉を透かして八月の宇宙 隣 安
いづこより童湧きしか盆踊 松本ゆうき
吊りてすぐおけさ風鈴おどり出す 飯田 誠子
言へさうで言へぬ一言いなびかり 岡崎由美子
一行の追伸うれし夏見舞 斎田 文子
(清記順)
一口鑑賞「新盆やノートに残る母の短歌(うた)」〜ゆうきさんの句。昨年、お母さまを亡くした作者。このお盆は故郷の宇和島で過ごし、改めて在りし日の母を偲ぶ機会になったようだ。お母さまは地元の文化賞も受賞された歌人。<寂しさは独りの食事整えて「いただきます」と箸を取る刻(とき)><ゆく夏を惜しむごと鳴く蜩がひとりのわれを急かす夕暮れ>。この2首はお母さまの生前、ゆうきさんが編纂した「うちうみ 松本榮歌集」から引いた。「震度三ぐらいじや止まぬ盆踊」〜照子さんの句。句意は明瞭だ。東日本大震災からもうすぐ8年半。大地震はいつ起こってもおかしくないが、恐れているばかりでは何もできない。この夏、東京でも盆踊の最中に震度3の揺れがあったが、中断されるようなことはなかった。この句は地震と盆踊りという組み合わせに現代性が感じられる。(潔)
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