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艸句会報:連雀(令和元年9月4日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「新涼」

高点2句
細筆の掌に馴染みをり涼新た    束田 央枝
後継誌は「艸」と決定秋高し    加藤 弥子

花野来てなにも要らぬと思ひけり  矢野くにこ
特攻兵のごとぶちあたり蝉かなし  加藤 弥子
新涼や手熨斗でたたむ白のれん   飯田 誠子
黙といふ安らぎのなか吾亦紅    横山 靖子
新涼やうすももいろの猫のみみ   坪井 信子
少年にして貫禄や草相撲      松成 英子
腹八分今日も守れず獺祭忌     束田 央枝
かなかなや古民家園に亡夫と聴く  春川 園子
下校児のゲームの話カンナ咲く   中島 節子
重ね置く本に紛れし秋団扇     岡崎由美子
波を打つステンドグラス秋涼し   山音(やまね)
目の前をモンローのごと秋の蝶   松本ゆうき
わが母を知らぬ夫の掌墓洗ふ    向田 紀子
秋涼し嬰に見られぬ蒙古斑     進藤 龍子

(清記順)

一口鑑賞「細筆の掌に馴染みをり涼新た」〜央枝さんの句。手紙を書いているのか、あるいは写経でもしているのか。夏の暑いときには書き物をするのも億劫だったが、秋になった途端に文字を書く意欲も湧いてきたのだろうか。もっとも、作者は書道の達人。日頃から書をやる人だからこそ、細筆一本を持つ手に新涼を感じ取ったのである。繊細な人の一句。「少年にして貫禄や草相撲」〜英子さんの句。少年の姿が何とも生き生きしている。上五から中七への句またがりを巧みにこなし、「貫禄や」の措辞も絶妙だ。相撲の歴史は古く、聖武天皇の代から旧暦7月に宮中儀式として行われたことから秋の季語になった。「草相撲」は副題。今も秋祭に神社の境内などで子どもたちが相撲を取る行事が残っている。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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