艸句会報:若草(令和元年10月14日)
若草句会(俳句文学館)
兼題「榠樝の実」、席題「体」
高点5句
その中に兜太に似たる榠樝の実 安住 正子
台風裡カレーに落とす生卵 山本 潔
閂のすとんと秋になりにけり 加藤 弥子
不屈なる子規の横顔榠樝の実 市原 久義
消費税八やら十やら秋刀魚焼く 針谷 栄子
児がくれし青き蜜柑に掌の温み 加藤 弥子
長き夜の甘みの欲しき体かな 山本 潔
林道の風のことづて秋の声 岡戸 良一
ごつごつと光の触るる榠樝の実 坪井 信子
紅白のされど寂しき彼岸花 市原 久義
体育の日団地の底の運動場 安住 正子
父母の守りし土蔵榠樝の実 松本ゆうき
秋高し部活帰りのコロッケパン 沢渡 梢
穭田の辻に双体道祖神 新井 洋子
悩むとき悩まざるとき草の花 石田 政江
師の在せし初学の道の青くわりん 針谷 栄子
(清記順)
一口鑑賞「その中に兜太に似たる榠樝の実」〜正子さんの句。昨年2月に他界した金子兜太の遺句集『百年』(朔出版)がこのほど刊行された。その記念イベントが兜太の故郷、秩父でも行われ、作者も参加してきた。この句は、兜太が好きだったという榠樝の木を見てきた実感から発想した。榠樝の実のごつごつして肉厚の印象を「兜太に似たる」と見て取った。<友ら亡し青く大きく榠樝の実><老年のわれに賑やか花梨の実>はいずれも『百年』から引いた。「ごつごつと光の触るる榠樝の実」〜信子さんの句。以前、東京・国分寺市の殿ヶ谷戸庭園で見た榠樝を思い出して詠んだという。もはやこの木はないそうだが、見事に写生句として成立している。記憶にしっかり残るまで榠樝の実をよく見たからだろう。中七の「光」に詩情が溢れている。写生の大切さを教えてくれる一句。(潔)
兼題「榠樝の実」、席題「体」
高点5句
その中に兜太に似たる榠樝の実 安住 正子
台風裡カレーに落とす生卵 山本 潔
閂のすとんと秋になりにけり 加藤 弥子
不屈なる子規の横顔榠樝の実 市原 久義
消費税八やら十やら秋刀魚焼く 針谷 栄子
児がくれし青き蜜柑に掌の温み 加藤 弥子
長き夜の甘みの欲しき体かな 山本 潔
林道の風のことづて秋の声 岡戸 良一
ごつごつと光の触るる榠樝の実 坪井 信子
紅白のされど寂しき彼岸花 市原 久義
体育の日団地の底の運動場 安住 正子
父母の守りし土蔵榠樝の実 松本ゆうき
秋高し部活帰りのコロッケパン 沢渡 梢
穭田の辻に双体道祖神 新井 洋子
悩むとき悩まざるとき草の花 石田 政江
師の在せし初学の道の青くわりん 針谷 栄子
(清記順)
一口鑑賞「その中に兜太に似たる榠樝の実」〜正子さんの句。昨年2月に他界した金子兜太の遺句集『百年』(朔出版)がこのほど刊行された。その記念イベントが兜太の故郷、秩父でも行われ、作者も参加してきた。この句は、兜太が好きだったという榠樝の木を見てきた実感から発想した。榠樝の実のごつごつして肉厚の印象を「兜太に似たる」と見て取った。<友ら亡し青く大きく榠樝の実><老年のわれに賑やか花梨の実>はいずれも『百年』から引いた。「ごつごつと光の触るる榠樝の実」〜信子さんの句。以前、東京・国分寺市の殿ヶ谷戸庭園で見た榠樝を思い出して詠んだという。もはやこの木はないそうだが、見事に写生句として成立している。記憶にしっかり残るまで榠樝の実をよく見たからだろう。中七の「光」に詩情が溢れている。写生の大切さを教えてくれる一句。(潔)
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