艸句会報:東陽(令和元年11月23日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「一葉忌」「手」
高点3句
針山にむかし黒髪一葉忌 野村えつ子
AIの世に追ひつけず大根切る 堤 やすこ
ひとつづつ山暮れてゆく木守柿 野村えつ子
物産展に干薇や一茶の忌 貝塚 光子
店番の小巾刺しをる一葉忌 飯田 誠子
一人では漕げぬシーソー息白し 中川 照子
句会へと急ぐしぐれの一葉忌 堤 やすこ
灯の消えてよりのやすらぎ菊人形 野村えつ子
冬銀河星のガイドのペンライト 岡崎由美子
秩父嶺の山容変はり落葉焚く 向田 紀子
菰巻や明日を信じて頑張るか 斎田 文子
革張りのメニュー帳古り散紅葉 長澤 充子
軍扇を手に山頂の冬将軍 岡戸 良一
校正のあの手この手や一葉忌 山本 潔
大榾のつつかれ元気とり戻す 安住 正子
釣書は手がき三つ折り冬うらら 羽生 隣安
書くほどのことあるやなし日記買ふ 松本ゆうき
AIの喋る勤労感謝の日 新井 洋子
(清記順)
一口鑑賞「針山にむかし黒髪一葉忌」〜えつ子さんの句。「針山」は「針刺し」のこと。「針立て」「針坊」とも言う。手芸の縫針を刺しておくための台で、綿を詰めて作る。かつては針が錆びるのを防ぐため、髪の毛やゴマなど油分のあるものを詰めたという。中七の「むかし黒髪」はまさにそのことを言っている。素朴な日用品が「一葉忌」と響き合っている。この句は女性陣に圧倒的な共感を呼んだ。「一人では漕げぬシーソー息白し」〜照子さんの句。描かれているのはシーソーと白い息だけだが、自ずと公園や校庭の遊具の景が思い浮かぶ。遊び相手のいない子どもは一人でシーソーの前に佇んでいる。そんな子どものそこはかとない寂しさと、それを見つめる作者の優しい眼差しが感じられる一句。ひょっとすると、子どもの頃の作者自身かもしれない。(潔)
席題「一葉忌」「手」
高点3句
針山にむかし黒髪一葉忌 野村えつ子
AIの世に追ひつけず大根切る 堤 やすこ
ひとつづつ山暮れてゆく木守柿 野村えつ子
物産展に干薇や一茶の忌 貝塚 光子
店番の小巾刺しをる一葉忌 飯田 誠子
一人では漕げぬシーソー息白し 中川 照子
句会へと急ぐしぐれの一葉忌 堤 やすこ
灯の消えてよりのやすらぎ菊人形 野村えつ子
冬銀河星のガイドのペンライト 岡崎由美子
秩父嶺の山容変はり落葉焚く 向田 紀子
菰巻や明日を信じて頑張るか 斎田 文子
革張りのメニュー帳古り散紅葉 長澤 充子
軍扇を手に山頂の冬将軍 岡戸 良一
校正のあの手この手や一葉忌 山本 潔
大榾のつつかれ元気とり戻す 安住 正子
釣書は手がき三つ折り冬うらら 羽生 隣安
書くほどのことあるやなし日記買ふ 松本ゆうき
AIの喋る勤労感謝の日 新井 洋子
(清記順)
一口鑑賞「針山にむかし黒髪一葉忌」〜えつ子さんの句。「針山」は「針刺し」のこと。「針立て」「針坊」とも言う。手芸の縫針を刺しておくための台で、綿を詰めて作る。かつては針が錆びるのを防ぐため、髪の毛やゴマなど油分のあるものを詰めたという。中七の「むかし黒髪」はまさにそのことを言っている。素朴な日用品が「一葉忌」と響き合っている。この句は女性陣に圧倒的な共感を呼んだ。「一人では漕げぬシーソー息白し」〜照子さんの句。描かれているのはシーソーと白い息だけだが、自ずと公園や校庭の遊具の景が思い浮かぶ。遊び相手のいない子どもは一人でシーソーの前に佇んでいる。そんな子どものそこはかとない寂しさと、それを見つめる作者の優しい眼差しが感じられる一句。ひょっとすると、子どもの頃の作者自身かもしれない。(潔)
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