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艸句会報:すみだ(令和元年12月25日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「クリスマス」

高点2句
「艸」門出ともに祝はんゆりかもめ   松本ゆうき
人生の余白を満たす冬至の湯      工藤 綾子

「サンタさんへ」聖夜の窓に貼る手紙  岡崎由美子
裏返し表に返し年賀状         工藤 綾子
駅中の雑踏抜けて聖夜かな       桑原さかえ
山小屋の木組トナカイ聖夜来る     長澤 充子
冬満月上野の森の地獄門        福岡 弘子
狐火や其角の句碑の読めぬ文字     山本  潔
聖夜くるナース奏でるハンドベル    高橋 郁子
甲斐の国簾すだれの吊し柿       大浦 弘子
咄家を招き敬老聖誕祭         貝塚 光子
咲きてなほどこやら寂し冬椿      松本ゆうき
まとまらぬ一句推敲湯冷めして     岡戸 林風

(清記順)

一口鑑賞『艸』門出ともに祝はんゆりかもめ」ゆうきさんの句。このほど「艸」創刊号(2020年冬号)が完成した。作者は編集長として印刷所との調整も含め一から尽力された。まずは敬意を表したい。創刊号の表紙に描かれた「ゆりかもめ(都鳥)」は句会場から程近い隅田川でもよく目にする。この句は、表紙から発想した即興の祝句だが、冬の季語としての「ゆりかもめ」も効いている。古くは在原業平が東国への旅の道中、隅田川で見た鳥の名前を「都鳥」と聞いて「名にしおはばいざ言問はむみやこどりわが思ふ人はありやなしやと」(伊勢物語)と詠んだことでも知られている。「咄家を招き敬老聖誕祭」光子さんの句。人口高齢化に伴い、最近はクリスマスのお祝いにも「敬老」の意味合いが深まってきたという見立てが面白い。咄家を招いての聖誕祭に軽妙な滑稽さが表れている。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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