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艸句会報:連雀(令和2年2月5日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「早春」

高点2句
春燈ひとりの紅茶さめやすし      加藤 弥子
臘梅の色を忘れしほど香り       坪井 信子

ポインセチア残る若さに乾杯す     加藤 弥子
令和二年二月二二日風生忌       束田 央枝
天金の聖書ようすき春埃        進藤 龍子
春光や干されし魚網より雫       岡崎由美子
脚舐めて神の園生の孕み猫       向田 紀子
春あけぼの夢に出てくる悪いやつ    松本ゆうき
梅白し声にしてみる方丈記       横山 靖子
春の運河ふはりふんはり舫ひ舟     飯田 誠子
手折られて一句となりぬ猫柳      坪井 信子
ばらばらにして蟹を売る多喜二の忌   松成 英子

(清記順)

一口鑑賞】「春燈ひとりの紅茶さめやすし」弥子さんの句。春燈の下、ひとりでいると紅茶の冷めるのが何と早いことだろう。家族や友達とお喋りをしながら飲む紅茶なら、冷めてもさほど気にならないが、ひとりで飲む紅茶は「さめやすし」と感じたのだ。作者は卒寿を過ぎてなお俳句への意欲に満ち溢れている。「ひとりの紅茶」という措辞に実感がこもる。「令和二年二月二二日風生忌」央枝さんの句。今年は「2020年」「令和2年」ということもあり、2月のカレンダーは「2」という数字がやたらと目につく。2月22日は風生忌。富安風生は「艸」の師系の源流であり、それをすかさず句にした作者の柔軟性に脱帽する。風生は高浜虚子に師事。逓信省に勤めながら俳誌「若葉」を主宰。東京・池袋にあった自宅を「艸魚洞」と呼んだ。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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