艸句会報:若草(令和2年2月8日)
若草句会(俳句文学館)
兼題「若草」、席題「二」
高点2句
春めきて活字にも棲む睡魔かな 飯田 誠子
逝く人の多き二月の鯨幕 沢渡 梢
俎板に春のリズムの厨事 新井 洋子
花びら餅懐紙に透ける余生かな 飯田 誠子
百蕾の枝のはざまの春動く 岡戸 林風
福豆をネイルアートの掌が抛る 市原 久義
ふるさとは二月の雪のなかりしと 安住 正子
神鹿の鼻のしめりや若草野 針谷 栄子
若草や学びたきこと多々あれど 小泉 裕子
ものの芽のほぐるる栗鼠園の小道 坪井 信子
若草を踏む厚底のスニーカー 沢渡 梢
言ふなれば昭和二桁牡丹の芽 山本 潔
春の雲西に東にややややに 松本ゆうき
(清記順)
【一口鑑賞】「逝く人の多き二月の鯨幕」梢さんの句。この日は親戚のお葬式で句会に来られない人が複数いたこともあり、句会前の雑談で「なぜか二月は逝く人が多い」「まだ風が冷たくて、寒さがこたえるからではないか」という話になった。作者はそんな会話に耳を傾けながら、席題「二」の句に仕立てた。「鯨幕」という即物描写が効いている。「神鹿の鼻のしめりや若草野」栄子さんの句。「神鹿」は神の使い。この句は「鼻のしめり」以外に具体的なことは何も言っていないが、草を食む鹿の鼻に葉が付いている様子が目に浮かぶ。作者はそこに「鼻のしめり」を見たのだろう。「春の雲西に東にややややに」ゆうきさんの句。「ややややに」は「だんだんに」「どこまでも」という意味の古語。「春の雲が東西に細長く不思議な形に伸びている様子を詠んだ」という。「やややや」。春の空にはそんな形の雲が浮かんでいる。(潔)
兼題「若草」、席題「二」
高点2句
春めきて活字にも棲む睡魔かな 飯田 誠子
逝く人の多き二月の鯨幕 沢渡 梢
俎板に春のリズムの厨事 新井 洋子
花びら餅懐紙に透ける余生かな 飯田 誠子
百蕾の枝のはざまの春動く 岡戸 林風
福豆をネイルアートの掌が抛る 市原 久義
ふるさとは二月の雪のなかりしと 安住 正子
神鹿の鼻のしめりや若草野 針谷 栄子
若草や学びたきこと多々あれど 小泉 裕子
ものの芽のほぐるる栗鼠園の小道 坪井 信子
若草を踏む厚底のスニーカー 沢渡 梢
言ふなれば昭和二桁牡丹の芽 山本 潔
春の雲西に東にややややに 松本ゆうき
(清記順)
【一口鑑賞】「逝く人の多き二月の鯨幕」梢さんの句。この日は親戚のお葬式で句会に来られない人が複数いたこともあり、句会前の雑談で「なぜか二月は逝く人が多い」「まだ風が冷たくて、寒さがこたえるからではないか」という話になった。作者はそんな会話に耳を傾けながら、席題「二」の句に仕立てた。「鯨幕」という即物描写が効いている。「神鹿の鼻のしめりや若草野」栄子さんの句。「神鹿」は神の使い。この句は「鼻のしめり」以外に具体的なことは何も言っていないが、草を食む鹿の鼻に葉が付いている様子が目に浮かぶ。作者はそこに「鼻のしめり」を見たのだろう。「春の雲西に東にややややに」ゆうきさんの句。「ややややに」は「だんだんに」「どこまでも」という意味の古語。「春の雲が東西に細長く不思議な形に伸びている様子を詠んだ」という。「やややや」。春の空にはそんな形の雲が浮かんでいる。(潔)
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