艸句会報:東陽(令和2年2月22日)
東陽句会(江東区産業会館)
席題「水温む」「白」
高点1句
表具屋の古き玻璃戸や春一番 岡崎由美子
しやぼん玉吹くたび母の顔を見て 堤 やすこ
宝前の鏝絵の白狐冴返る 岡戸 林風
青鮫忌黄犬忌国は大丈夫か 山本 潔
遠雪嶺生き方ひとつ貫いて 飯田 誠子
野辺に出で土ふかふかと水温む 貝塚 光子
鳥雲に少年のごと腹の鳴る 松本ゆうき
よちよちの転び上手や下萌ゆる 野村えつ子
脚色をすこし加へて春の夢 岡崎由美子
和紙漉きの手元素早し水温む 長澤 充子
東風なれや押し戻さるるビルの間 斎田 文子
霊園に番地のありて梅日和 向田 紀子
山の子も都会で老いて花粉症 安住 正子
堤防は恋の通ひ路島の猫 新井 洋子
(清記順)
【一口鑑賞】「表具屋の古き玻璃戸や春一番」由美子さんの句。表具屋は掛物や巻物、書画帖、屏風、襖などの専門店。平安か鎌倉の頃に中国から伝来した技術に由来するが、近年は後継者不足に陥っている。この日は、関東地方に春一番が吹いた。作者は、根津界隈を歩いた際に見かけた表具屋を思い浮かべながら、早速、一句に仕立てた。「古き玻璃戸」に懐かしさが込められている。「和紙漉きの手元素早し水温む」充子さんの句。旅先で見た和紙漉きの光景を思い出しながら詠んだ。職人の「手元」に焦点を絞ったことでうまくまとまっている。和紙の起源については諸説あり、①日本で自然に紙漉きが始まった ②渡来人がもたらした−の二つに大別される。400年頃には公権力によって紙による記録が始まったことが「日本書紀」に記されているという。(潔)
席題「水温む」「白」
高点1句
表具屋の古き玻璃戸や春一番 岡崎由美子
しやぼん玉吹くたび母の顔を見て 堤 やすこ
宝前の鏝絵の白狐冴返る 岡戸 林風
青鮫忌黄犬忌国は大丈夫か 山本 潔
遠雪嶺生き方ひとつ貫いて 飯田 誠子
野辺に出で土ふかふかと水温む 貝塚 光子
鳥雲に少年のごと腹の鳴る 松本ゆうき
よちよちの転び上手や下萌ゆる 野村えつ子
脚色をすこし加へて春の夢 岡崎由美子
和紙漉きの手元素早し水温む 長澤 充子
東風なれや押し戻さるるビルの間 斎田 文子
霊園に番地のありて梅日和 向田 紀子
山の子も都会で老いて花粉症 安住 正子
堤防は恋の通ひ路島の猫 新井 洋子
(清記順)
【一口鑑賞】「表具屋の古き玻璃戸や春一番」由美子さんの句。表具屋は掛物や巻物、書画帖、屏風、襖などの専門店。平安か鎌倉の頃に中国から伝来した技術に由来するが、近年は後継者不足に陥っている。この日は、関東地方に春一番が吹いた。作者は、根津界隈を歩いた際に見かけた表具屋を思い浮かべながら、早速、一句に仕立てた。「古き玻璃戸」に懐かしさが込められている。「和紙漉きの手元素早し水温む」充子さんの句。旅先で見た和紙漉きの光景を思い出しながら詠んだ。職人の「手元」に焦点を絞ったことでうまくまとまっている。和紙の起源については諸説あり、①日本で自然に紙漉きが始まった ②渡来人がもたらした−の二つに大別される。400年頃には公権力によって紙による記録が始まったことが「日本書紀」に記されているという。(潔)
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