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艸句会報:すみだ(令和2年3月25日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「浅蜊」

高点1句
薔薇の芽や心折れたる日も赤し    岡崎由美子

思ふこと叶はぬ今日の牡丹雪     岡戸 林風
薔薇芽立つ三階建てのベーカリー   髙橋 郁子
春の蝶ひらがなあそびして去りぬ   工藤 綾子
葱坊主山から猿の来る頃か      福岡 弘子
日替りの理屈をこねる日永かな    松本ゆうき
亡き父の墓前にタバコ椿散る     桑原さかえ
さりげなくフラダンスして潮干狩   大浦 弘子
春の服着て蝶になる女の子      岡崎由美子
幼馴染みのをみなと選ぶ春の服    貝塚 光子
「深川めし」の暖簾分け入る花の昼  長澤 充子
貝寄風や見へぬものほど恐ろしき   山本  潔

(清記順)

一口鑑賞】「薔薇の芽や心折れたる日も赤し」由美子さんの句。この春は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により、外出もままならない状況になってしまった。句会をしようにも公共施設が閉館となり、イベントや集会も自粛ムードが広がった。そんな間隙を縫って開かれた句会で共感を得たのがこの一句。「心折れたる日」という措辞が現況をうまく言い表している。炎のように赤い薔薇の芽との対比も絶妙だ。「葱坊主山から猿の来る頃か」弘子さんの句。葱の花が咲くころは春も深まり、山里も精気に満ちている。ならば猿も餌を求めてやってくるだろう。コロナ禍の中にあってもユーモラスな気持ちを忘れないことが大事だと思わせてくれる一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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