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艸句会報:若草(令和2年5月)

若草通信句会
兼題「立夏、夏に入る」

高点2句
折れさうな日々を明るく矢車草    山本  潔
炒飯の音の弾ける立夏かな      飯田 誠子

花生けに水なみなみと立夏かな    飯田 誠子
万緑や生きてゐるのは素晴らしい   松本ゆうき
道端に咲くかたばみの気迫かな    市原 久義
柚の花や日々の暮しの中の幸     針谷 栄子
寂しがり屋の沙緻句碑の空青嵐    石田 政江
ラジオからラジオ体操姫辛夷     山本  潔
貼り変はる駅のポスター夏を呼ぶ   安住 正子
若葉して人のぬくもり恋ふばかり   沢渡  梢
泡が泡生む初夏のコカコーラ     坪井 信子
酸っぱさはこうでなくっちゃ夏蜜柑  新井 洋子

(清記順)

【一口鑑賞】炒飯の音の弾ける立夏かな」誠子さんの句。炒飯は家庭料理としてもポピュラーなメニュー。残りご飯と卵だけでもさっと炒めて美味しく食べられる。焼豚やエビ、カニなどがあれば上等だ。立夏の日にどんな炒飯を作ったのだろう。ご飯を炒める軽快な音が夏に入った気分を明るくさせる。「柚の花や日々の暮しの中の幸」栄子さんの句。コロナ禍で生活環境が変化する中、身の回りの小さな幸せに目を向けて詠んだ一句。「柚の花」との取り合わせが効いている。柚は初夏に香り高い白い花をつける。
若葉して人のぬくもり恋ふばかり」梢さんの句。若葉が眩しければ眩しいほど、人のぬくもりが恋しい!自粛を強いられる日々の気持ちを素直に詠んでいる。「道端に咲くかたばみの気迫かな」久義さんの句。酢漿(かたばみ)は庭や道路、公園など至るところに生える。葉はクローバーに似ており、5月頃から黄色い5弁の花をつける。花言葉は「輝く心」。この句は、道端の酢漿に自らの人生をなぞらえて詠んだのだろう。下五の「気迫かな」から生きることへの強い思いが伝わってくる。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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