艸句会報:すみだ(令和2年5月)
すみだ通信句会
高点2句
夏めくや電動ミシン軽やかに 長澤 充子
人の世のストレス知らず春の鴨 福岡 弘子
大型犬の鼻先風の小判草 岡崎由美子
何時もより熱き湯加減菖蒲風呂 貝塚 光子
緑さす庭をしばしの憩ひとも 岡戸 林風
新樹光玻璃に透けゐるレストラン 長澤 充子
百歳を待たで叔母逝く卯月かな 桑原さかえ
母の日のおやつ代はりの焼むすび 山本 潔
とりあへず新玉葱に生ハムを 工藤 綾子
濃淡の緑とけ込む運河かな 福岡 弘子
更衣母の形見をまた仕舞ふ 大浦 弘子
尺蠖や遊具の縛りいつほぐる 髙橋 郁子
(清記順)
【一口鑑賞】「夏めくや電動ミシン軽やかに」充子さんの句。木々や街ゆく人々の姿がいよいよ夏らしくなってきたなと思った途端に、電動ミシンも軽やかに感じられたのである。器用な人だから、手作りのマスクでも縫っていたのかもしれない。コロナ禍で春先から憂鬱な日々を送ってきたが、夏がきて状況が良くなってほしい。そんな気持ちをミシンに即して詠んだ。「人の世のストレス知らず春の鴨」福岡さんの句はコロナ禍で晴れない気持ちを「春の鴨」とうまく対比させている。鴨の姿がのんびりして見えれば見えるほど、人間のストレスの大きさが浮き彫りになる。
「何時もより熱き湯加減菖蒲風呂」光子さんの句。菖蒲湯について今更解説するまでもないが、熱めの湯加減にすることで香りも立ち、湯上りの気分もしゃきっとするから不思議だ。この句は余計なことは何も言わず、湯加減のことだけをシンプルに詠んだ。「更衣母の形見をまた仕舞ふ」大浦さんの句。母の形見を大事に活用している作者。更衣のたびに感謝の念を忘れない。(潔)
高点2句
夏めくや電動ミシン軽やかに 長澤 充子
人の世のストレス知らず春の鴨 福岡 弘子
大型犬の鼻先風の小判草 岡崎由美子
何時もより熱き湯加減菖蒲風呂 貝塚 光子
緑さす庭をしばしの憩ひとも 岡戸 林風
新樹光玻璃に透けゐるレストラン 長澤 充子
百歳を待たで叔母逝く卯月かな 桑原さかえ
母の日のおやつ代はりの焼むすび 山本 潔
とりあへず新玉葱に生ハムを 工藤 綾子
濃淡の緑とけ込む運河かな 福岡 弘子
更衣母の形見をまた仕舞ふ 大浦 弘子
尺蠖や遊具の縛りいつほぐる 髙橋 郁子
(清記順)
【一口鑑賞】「夏めくや電動ミシン軽やかに」充子さんの句。木々や街ゆく人々の姿がいよいよ夏らしくなってきたなと思った途端に、電動ミシンも軽やかに感じられたのである。器用な人だから、手作りのマスクでも縫っていたのかもしれない。コロナ禍で春先から憂鬱な日々を送ってきたが、夏がきて状況が良くなってほしい。そんな気持ちをミシンに即して詠んだ。「人の世のストレス知らず春の鴨」福岡さんの句はコロナ禍で晴れない気持ちを「春の鴨」とうまく対比させている。鴨の姿がのんびりして見えれば見えるほど、人間のストレスの大きさが浮き彫りになる。
「何時もより熱き湯加減菖蒲風呂」光子さんの句。菖蒲湯について今更解説するまでもないが、熱めの湯加減にすることで香りも立ち、湯上りの気分もしゃきっとするから不思議だ。この句は余計なことは何も言わず、湯加減のことだけをシンプルに詠んだ。「更衣母の形見をまた仕舞ふ」大浦さんの句。母の形見を大事に活用している作者。更衣のたびに感謝の念を忘れない。(潔)
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