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艸句会報:連雀(令和2年7月)

連雀通信句会

高点3句
出不精と言ひつつ母のサングラス   山本  潔
香水のどれも残りて瓶が好き     中島 節子
暑き日の朝の珈琲熱くして      進藤 龍子

亡夫の杖わが手に馴染み梅雨晴間   春川 園子
いつになく遠き田舎や蛇苺      松本ゆうき
独歩忌のはけの竹林風を呼ぶ     束田 央枝
蓮開く朝の電車の通る音       松成 英子
錠剤の手より転がる梅雨曇      中島 節子
冷奴切れ字の話ばかりして      山本  潔
木苺の色よくなれば病よし      矢野くに子
子雀もおしやべりが好き朝の庭    横山 靖子
荒梅雨や畑に土留めのトタン板    岡崎由美子
声出さばすぐ散る気配白さうび    坪井 信子
雷神の一喝あとの日差しかな     安住 正子
健診の一つ気がかり梅雨の夜     飯田 誠子
梅雨深く大樹の洞の黝ぐろと     進藤 龍子
夫と居て扇風機の風不平等      向田 紀子

(清記順)

【一口鑑賞】香水のどれも残りて瓶が好き」節子さんの句。「香水」が夏の季語。爽快な香りが汗臭さや暑苦しい気分を消してくれる。この句は下五の「瓶が好き」に俳味が感じられる。香水瓶はデザインもお洒落だし、眺めているだけで楽しい。身近なものへの愛着が素直に伝わってくる一句。
暑き日の朝の珈琲熱くして」龍子さんの句。夏バテを防ぐ秘訣は体を冷やさないこと。昔の人は夏でも暑い日本茶を飲んでいた。しかし、近年はコーヒーの消費量が日本茶を追い抜いてしまった。若者はアイスコーヒーが飲みたくなるが、作者は熱いコーヒーで体調も気持ちも整えているのだろう。
夫と居て扇風機の風不平等」紀子さんの句。リビングでテレビでも見ながら、くつろいでいる夫婦。首を降っている扇風機が、ふと気がつくと夫の方にばかり向いている。「ちょっと、あなたずるいわよ」などと言いながら、自分の方に向けるが、いつの間にか風はまた夫の方へ…。微笑ましい夫婦の光景。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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