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艸句会報:かつしか(令和2年12月20日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「師走」

高点1句
侘助が満開ですねお義父さん     山田 有子

七草の籠を買ひ来る師走かな     山田 有子
居酒屋の手書きのメニュー年暮るる  三尾 宣子
笑ひ皺いつしか消えて十二月     小野寺 翠
健診の縮みし背丈干大根       霜田美智子
柚子風呂や孫は大人に「なにぬねの」 中山 光代
冬枯や野仏の顔薄れをり       近藤 文子
師走空上野浅草一万歩        片岡このみ
目覚しの三度に覚悟の冬の朝     笛木千恵子
喪中とてやるべき事はやる師走    五十嵐愛子
愛想良き人型ロボット街師走     新井 洋子
振舞の酒も自粛の夜警かな      新井 紀夫
ブティックの夜のウインドに雪女   山本  潔
水鳥や湖畔の宿のログハウス     佐治 彰子
ありし日の母と仕立てし蒲団かな   伊藤 けい

(清記順)

【一口鑑賞】侘助が満開ですねお義父さん」有子さんの句。「侘助」はツバキ科の樹木。椿に似た白や紅の小ぶりの花をつける。豊臣秀吉が朝鮮出兵した際に「わびすけ」という人物が持ち帰ったという説もあるが定かではない。寒くなり侘助が庭に咲くたびに義父のことが懐かしくなる作者。義父が大事に育てていたのだろう。死者への「満開ですね」という呼び掛けに親しみが込められている。
 「笑ひ皺いつしか消えて十二月」翠さんの句。「笑ひ皺」は文字どおり笑ったときにできる皺。若い頃は気にならなかったが、年齢とともに特に女性には気になるものらしい。しかし、師走の忙しいなかにあっては「笑ひ皺」を作る余裕もないということだろう。この句は「十二月」の慌ただしさを軽妙に伝えている。
 「振舞の酒も自粛の夜警かな」紀夫さんの句。昨今、夜警を行うところは少ないかもしれない。昔は「火の用心!」という声の後に「カチ、カチ」という拍子木を打つ音が聞こえてきたものだ。作者の住む亀有界隈では毎年行われているというが、今年は恒例の振舞酒が自粛に。これを楽しみに夜警に参加していた人もいただろう。コロナ禍の影響はこんなところにも表れている。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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