艸句会報:船橋(令和3年1月)
船橋通信句会
高点2句
日脚伸ぶ小さき畑に鍬を入れ 小杉 邦男
冬ざれや研ぎ師の洗ふ水砥石 山本 潔
元気かと声が我へのお年玉 飯塚 とよ
双六や思ひ出の地を飛び越えて 並木 幸子
家飲みの酢牡蠣を卓に宵の口 新井 洋子
ゆめと書くデイサービスの筆始め 市原 久義
初筑波北北東に山並も 小杉 邦男
初空や数多学びの余生あり 川原 美春
凧揚げし昔日遠く晴天日 平野 廸彦
寒菊の曲らぬ高さ久女の忌 針谷 栄子
春近し待合室のヴィヴァルディ 山本 潔
ほこほこと苑の芝生や春隣 岡崎由美子
幾年か「逢おうね」友と初電話 三宅のり子
重ねきし通信句会春隣 岡戸 林風
(清記順)
【一口鑑賞】「日脚伸ぶ小さき畑に鍬を入れ」邦男さんの句。家庭菜園だろうか。冬の間に土を耕すことで草が生えにくく、土壌も肥えてくる。冬至(12月22日頃)を過ぎれば昼間の時間が少しずつ長くなるが、それを実感するようになるのは1月半ばからで太陽の日差しも暖かさが感じられる。この句は、土を鋤き起しながら感じた「日脚伸ぶ」を端的に詠んだ。
「元気かと声が我へのお年玉」とよさんの句。ふと聞こえた声の主は昨年亡くなったご主人だろう。「元気か」とやさしく問いかけられて嬉しかった気持ちを素直に句にした。「双六や思ひ出の地を飛び越えて」幸子さんの句。日本一周か世界一周か、旅の双六を楽しんだ作者。かつて旅した地を飛び越した時には懐かしさがこみ上げてきた。
「初空や数多学びの余生あり」美春さんの句。元旦の晴れ渡った空を眺めての感慨。いろいろ学ぶことが余生の楽しみになっているのだろう。何事にも前向きな作者のことだから、俳句上達も心に誓ったはずだ。「凧揚げし昔日遠く晴天日」廸彦さんの句も正月の空を見ての感慨。晴天に高く揚がる凧を眺めながら、若かりし頃を思い出している。「幾年か『逢おうね』友と初電話」のり子さんの句。友との初電話。「逢おうね」と言いながら幾年が過ぎたのだろうか。(潔)
高点2句
日脚伸ぶ小さき畑に鍬を入れ 小杉 邦男
冬ざれや研ぎ師の洗ふ水砥石 山本 潔
元気かと声が我へのお年玉 飯塚 とよ
双六や思ひ出の地を飛び越えて 並木 幸子
家飲みの酢牡蠣を卓に宵の口 新井 洋子
ゆめと書くデイサービスの筆始め 市原 久義
初筑波北北東に山並も 小杉 邦男
初空や数多学びの余生あり 川原 美春
凧揚げし昔日遠く晴天日 平野 廸彦
寒菊の曲らぬ高さ久女の忌 針谷 栄子
春近し待合室のヴィヴァルディ 山本 潔
ほこほこと苑の芝生や春隣 岡崎由美子
幾年か「逢おうね」友と初電話 三宅のり子
重ねきし通信句会春隣 岡戸 林風
(清記順)
【一口鑑賞】「日脚伸ぶ小さき畑に鍬を入れ」邦男さんの句。家庭菜園だろうか。冬の間に土を耕すことで草が生えにくく、土壌も肥えてくる。冬至(12月22日頃)を過ぎれば昼間の時間が少しずつ長くなるが、それを実感するようになるのは1月半ばからで太陽の日差しも暖かさが感じられる。この句は、土を鋤き起しながら感じた「日脚伸ぶ」を端的に詠んだ。
「元気かと声が我へのお年玉」とよさんの句。ふと聞こえた声の主は昨年亡くなったご主人だろう。「元気か」とやさしく問いかけられて嬉しかった気持ちを素直に句にした。「双六や思ひ出の地を飛び越えて」幸子さんの句。日本一周か世界一周か、旅の双六を楽しんだ作者。かつて旅した地を飛び越した時には懐かしさがこみ上げてきた。
「初空や数多学びの余生あり」美春さんの句。元旦の晴れ渡った空を眺めての感慨。いろいろ学ぶことが余生の楽しみになっているのだろう。何事にも前向きな作者のことだから、俳句上達も心に誓ったはずだ。「凧揚げし昔日遠く晴天日」廸彦さんの句も正月の空を見ての感慨。晴天に高く揚がる凧を眺めながら、若かりし頃を思い出している。「幾年か『逢おうね』友と初電話」のり子さんの句。友との初電話。「逢おうね」と言いながら幾年が過ぎたのだろうか。(潔)
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