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艸句会報:連雀(令和3年3月3日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「春眠」

高点5句
春疾風やつぱり好きさビートルズ   松本ゆうき
一人ゐてひとりの眺め春夕焼     坪井 信子
春眠やいつかは止まるオルゴール   山本  潔
追ふ猫も追はるる猫も恋の猫     安住 正子
消しゴムを丸くへらして春眠し    飯田 誠子

電工夫の腰の工具に春日刎ね     進藤 龍子
ぐずぐずと本屋に長居して日永    岡崎由美子
落椿まだあたたかき犬の骨      山本  潔
終点の「みたかー、三鷹」や春眠し  安住 正子
紙風船一人遊びの数へ歌       飯田 誠子
無理をせず過ぎゆくままに柳の芽   春川 園子
恋猫の我が物顔や漁師町       松本ゆうき
町川の蛇行の底の草萌ゆる      向田 紀子
きびきびとまめに生きたし緑立つ   束田 央枝
一と声の初音さぐるも多摩の里    矢野くにこ
お焚上げ待つ千体の古ひひな     松成 英子
筋書のなき春眠のあと五分      中島 節子
立春や陽だまり探す上水路      渕野 宏子
原発そびえ波打きはの桜貝      横山 靖子
火星から地球がきれい春の海     石田 政江
人声の集まつてくる芽吹きかな    坪井 信子

(清記順)

 【一口鑑賞】春疾風やつぱり好きさビートルズ」ゆうきさんの句。一句を読んだ瞬間に頭の中に「ジャーン♪」というエレキギターの音が響くとともにビートルズの歌声が聴こえてきた。上五の「春疾風」は1960年代に登場した彼らが世界の音楽シーンに巻き起こした旋風の大きさを物語っているようだ。さらに中七の「やつぱり好きさ」という措辞がビートルズ世代のノスタルジーを呼び起こす。「一人ゐてひとりの眺め春夕焼」信子さんの句。要は一人で春の夕焼を見ているだけなのだが、上五〜中七で「ひとり」を強調したことで、極めて心象的な意味合いが強い句になっている。一人暮らしとなった寂しさを噛みしめながらも、決して明日への希望を忘れまいとする作者の気持ちが込められているのではないか。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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