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艸句会報:船橋(令和3年2月)

船橋通信句会

高点2句
雪解川三・一一の海へ海へ      山本  潔
春陰やアンモナイトの眠る岨     岡戸 林風

石庭の砂の眩しき梅二月       岡戸 林風
如月や露天湯浴みの肩沈め      小杉 邦男
掬ひ取る潮の匂ひや若布刈り     並木 幸子
園児らの避難訓練鳥雲に       沢渡  梢
保健室の女先生ヒアシンス      新井 洋子
年一度出逢ふ雛の倦怠感       中川 照子
リハビリの自転車こぐや春の風    川原 美春
金銀のチョコのセロハン風光る    針谷 栄子
一針に心込めたるつるし雛      三宅のり子
閉店の知らせの墨書二月尽      飯塚 とよ
折りたたむ傘の滴も春の水      山本  潔
春日射昔は出来し逆上がり      市原 久義
暮れ残る荒畑隅の梅一樹       岡崎由美子
草むらを鴬一羽飛び立ちぬ      平野 廸彦

(清記順)

【一口鑑賞】掬ひ取る潮の匂ひや若布刈り」幸子さんの句。若布刈りは新芽の出る3月ごろに始まる。春とはいえ、冷たい海での作業は厳しい。浅いところでは箱眼鏡などを覗きながら熊手のような道具で刈り取る。作者は、そんな作業を実際に体験したことがあるのかもしれない。この句は上五〜中七の措辞に臨場感があふれている。「金銀のチョコのセロハン風光る」栄子さんの句。コロナ下の今年はバレンタインデー商戦にも変化があったようだ。デパートでチョコレートを求める客数は減る一方、ネット購入や予約販売は好調だったらしい。この句のチョコがバレンタインに関係があるとは限らないが、金銀のセロハンと「風光る」の取り合わせで、いかにも春らしい一句になった。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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