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艸句会報:かつしか(令和3年3月28日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「智」

高点2句
笑ふ子も泣く子もえくぼ豆の花    片岡このみ
説法の佳境に入りて春眠し      霜田美智子

弥生月花のすべてを西行に      中山 光代
「生かされてます」三月十日慰霊堂  五十嵐愛子
つくばひの水へ庵主の落椿      笛木千恵子
智恵ちやんは湯屋の娘やシャボン玉  伊藤 けい
寅さんの真似をしたいな春の土手   西村 文華
知恵詣髪にかんざし鹿の子帯     片岡このみ
蝶の昼しゆるしゆる鉋屑匂ふ     新井 洋子
鳥帰る智恵子の空の広さかな     山本  潔
花の雲身延山麓坊数多        佐治 彰子
等伯の襖絵花の智積院        新井 紀夫
街暮れて風立つ路地や真砂女の忌   山田 有子
風光る湯気の向かうの饅頭屋     三尾 宣子
児の描く太陽の絵やうららけし    平川 武子
知恵の輪を外せぬ春の夢つづく    千葉 静江
那智の石盤上に組む春北斗      霜田美智子
雲流る智恵子の里の山笑ふ      小野寺 翠
小暗きも漫ろなるかな雪柳      近藤 文子
春服の面影さがす同窓会       高橋美智子

(清記順)

 【一口鑑賞】『生かされてます』三月十日慰霊堂」愛子さんの句。昭和20年3月10日、東京は米軍の爆撃機B 29の大空襲によって焦土と化した。今年は東日本大震災から10年という節目で「三・一一」に焦点が集まった観はあるが、「三・一〇」も決して忘れてはならない歴史。この句は、空襲で身内を亡くした作者の心の声。「生かされてます」の口語に実感がこもっている。「蝶の昼しゆるしゆる鉋屑匂ふ」洋子さんの句。大工さんが木材を鉋(かんな)で削る姿が目に浮かぶ。「しゆるしゆる」というオノマトペと、動詞の「匂ふ」が読み手の五感に働きかけてくるからだろう。「蝶の昼」も絶妙だ。今ではこんな光景は滅多に見られない。この句は「ウ」音の脚韻を踏んで独特のリズムを生んでいる。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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