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艸句会報:若草(令和3年4月10日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「肩」

高点1句
お日さまを必ず描く子たんぽぽ野  安住 正子

桜蕊降るや野点の緋毛氈      安住 正子
利休忌の花散り初むるうつつかな  針谷 栄子
ワクチンを打たるる肩の種痘痕   市原 久義
肩上げをおろし童女の花衣     沢渡  梢
木陰なき墓地の細道つづみ草    坪井 信子
ワンピース足りぬパズルや鳥ぐもり 新井 洋子
肩肘を張らず生きたし半仙戯    山本  潔
リラ冷の狸小路や味噌ラーメン   新井 紀夫
闇深き翁の面や春の雷       飯田 誠子
なかなかに古里遠し暮の春     松本ゆうき
一筆書きの上毛三山春霞      石田 政江
海に向くローカル線や桜東風    吉﨑 陽子
露座仏の肩に降りつむ花の塵    岡戸 林風

(清記順)

【一口鑑賞】利休忌の花散り初むるうつつかな」栄子さんの句。千利休の忌日は陰暦2月28日。太陽暦では4月9日。ちょうど桜の散る時期に重なる。茶人でもある作者は、信長、秀吉に仕えながら不遇の死を遂げた利休の人生に思いをはせる。花は絶頂期に散り初めるからこそ美しい。「一筆書きの上毛三山春霞」政江さんの句。上毛三山は群馬県の北部にある榛名山、西の妙義山、東の赤城山。いずれも那須火山帯に属し、市街地からよく見える。離れている三つの山々が春霞の中で尾根がつながったように見えたのかもしれない。幻想的な大きな景を捉えた一句。山岳愛好家の間では上毛三山を一日でめぐる一筆書きのコースもあるらしい。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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