艸句会報:東陽(令和3年4月)
東陽通信句会
高点2句
うららかや照さん手製の俳画集 山本 潔
甍なきビルの暮らしやおぼろ月 斎田 文子
春愁や折目揃はぬ新聞紙 堤 やすこ
佐保姫と酒酌み交はしたきこの世 山本 潔
スケボーの子の手ひらひら風光る 安住 正子
たんぽぽの絮吹く口を尖らせて 貝塚 光子
晩春の空押し上ぐる花水木 長澤 充子
ゆく春や翁の発ちし運河べり 岡戸 林風
梢よりこぼれて群るる雀の子 岡崎由美子
美しき絵と句の画集木の芽晴 中島 節子
利かん気の尾の跳ねどほし鯉幟 野村えつ子
剪定の青空少し傷つけて 斎田 文子
「ほうたる」来照子刀自の春らんまん 松本ゆうき
新樹冷え何を企む夜の鴉 向田 紀子
きらきらと波畳み来る蝌蚪の池 新井 洋子
武骨さは野武士のごとき葱坊主 飯田 誠子
鳥帰る師の墓所の風纏ひつつ 中川 照子
(清記順)
【一口鑑賞】「甍なきビルの暮らしやおぼろ月」文子さんの句。「甍なきビル」とはマンションのことだろう。作者は甍造の大きな家で育ったのかもしれない。昔の暮らしを懐かしみながら、マンションの生活に馴染みきれない気持ちが込められている。おぼろにかすんだ月が春の愁いを誘う。「春愁や折目揃はぬ新聞紙」やすこさんの句。朝、新聞にさっと目を通した後に、あとでじっくり読もうとすることはよくある。しかし、一度開いた新聞は折目がずれてきれいにそろわない。誰かが読んだあとの新聞も同様だ。春だからこそ感じるものうい気分を、新聞のちょっとした折目のずれに見出した繊細な一句。(潔)
高点2句
うららかや照さん手製の俳画集 山本 潔
甍なきビルの暮らしやおぼろ月 斎田 文子
春愁や折目揃はぬ新聞紙 堤 やすこ
佐保姫と酒酌み交はしたきこの世 山本 潔
スケボーの子の手ひらひら風光る 安住 正子
たんぽぽの絮吹く口を尖らせて 貝塚 光子
晩春の空押し上ぐる花水木 長澤 充子
ゆく春や翁の発ちし運河べり 岡戸 林風
梢よりこぼれて群るる雀の子 岡崎由美子
美しき絵と句の画集木の芽晴 中島 節子
利かん気の尾の跳ねどほし鯉幟 野村えつ子
剪定の青空少し傷つけて 斎田 文子
「ほうたる」来照子刀自の春らんまん 松本ゆうき
新樹冷え何を企む夜の鴉 向田 紀子
きらきらと波畳み来る蝌蚪の池 新井 洋子
武骨さは野武士のごとき葱坊主 飯田 誠子
鳥帰る師の墓所の風纏ひつつ 中川 照子
(清記順)
【一口鑑賞】「甍なきビルの暮らしやおぼろ月」文子さんの句。「甍なきビル」とはマンションのことだろう。作者は甍造の大きな家で育ったのかもしれない。昔の暮らしを懐かしみながら、マンションの生活に馴染みきれない気持ちが込められている。おぼろにかすんだ月が春の愁いを誘う。「春愁や折目揃はぬ新聞紙」やすこさんの句。朝、新聞にさっと目を通した後に、あとでじっくり読もうとすることはよくある。しかし、一度開いた新聞は折目がずれてきれいにそろわない。誰かが読んだあとの新聞も同様だ。春だからこそ感じるものうい気分を、新聞のちょっとした折目のずれに見出した繊細な一句。(潔)
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