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艸句会報:若草(令和3年5月8日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ
兼題「彩」

高点3句
地球儀の海のあおさよ聖五月     坪井 信子
師の句碑に佇ち郭公の鳴き止まず   安住 正子
川幅の光彩百の鯉のぼり       針谷 栄子

猫カフェの猫の百態夏兆す      新井 洋子
うす青き彩を放ちて能登上布     隣安
問診に少しうそ書く姫女苑      飯田 誠子
友禅の彩り流す初夏の川       安住 正子
彩りを失ふ街の夕薄暑        松本ゆうき
コロナ禍の米寿となりて新茶酌む   吉﨑 陽子
秩父連山どこが雲取山夕霞      石田 政江
若葉風リモートワークの窓あけて   岡戸 林風
亀鳴くや話し相手のゐぬ不安     坪井 信子
聖火行く旧街道の鯉のぼり      市原 久義
休日のフレンチトースト夏来る    沢渡  梢
コックスの檄とぶ春の隅田川     新井 紀夫
沙緻の忌やシャツを明るく更衣    山本  潔
ぼうたんの崩れし鉢の軽さかな    針谷 栄子

(清記順)

【一口鑑賞】師の句碑に佇ち郭公の鳴き止まず」正子さんの句。作者は石川県七尾市出身。このゴールデンウィークに帰省した折、同県羽咋市の名刹・妙成寺を訪れ、舘岡沙緻師のお墓参りをしてきた。鳴き止まない郭公の声はまるで師と作者の問答のよう。墓域には<花あらば幸あらば塔とこしへに 沙緻>の句碑が建っている。「うす青き彩を放ちて能登上布」隣安さんの句。この日の句会参加者には、正子さんから素敵な能登上布の栞がお土産として配られた。「上布」は麻織物の一種で夏の季語。ゲスト参加の作者は、すかさず兼題「彩」の文字を詠み込み、挨拶句に仕立てた。即吟ながら、上五から中七の見立てが的確で詩情を感じさせる。こうした句と出会えることも句会の楽しみ。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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