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艸句会報:連雀(令和3年5月)

連雀通信句会
兼題「麦の秋」

高点1句
一湾を日照雨駆け抜く花蜜柑     安住 正子

噴水に朝の光といふベール      坪井 信子
やさしさがふくらんでくる芽吹山   横山 靖子
生涯の実りはいかに麦の秋      春川 園子
禅林のしづけさに降る余花の雨    安住 正子
麦の秋きみと歩きし風の道      渕野 宏子
塩パンとバナナですます朝ごはん   松本ゆうき
夏きたるカオスのやうな貌をして   山本  潔
柿若葉明治の玻璃のゆがみ透く    飯田 誠子
麦秋や遅れがちなる路線バス     向田 紀子
白靴のなんども登る滑り台      岡崎由美子
夕映えて山羊の一声麦の秋      束田 央枝
竹皮を脱ぎたる土の柔らかし     進藤 龍子
外海に出てゆく船や卯波立つ     松成 英子
出迎へはエントランスの武者人形   中島 節子

(清記順)

【一口鑑賞】5月は緊急事態宣言の発動に伴い、手紙による通信句会となった。「竹皮を脱ぎたる土の柔らかし」龍子さんの句。朝の散歩がてら、近所の竹林に足を運んだのだろう。筍が生長して皮が脱げた様子を眺めながら、周囲の土の色や柔らかさなどをしっかり見て詠んでいる。卒寿を過ぎてなおかくしゃくとしている作者。コロナ禍で外出する機会は減っても見て詠むことを大事にしている。「塩パンとバナナですます朝ごはん」ゆうきさんの句。塩パンは生地にバターを包み、表面に岩塩を振って焼いたパン。塩分補給にもなり、バナナと一緒に食べれば栄養バランスもいい。食欲の落ちる夏場にはうってつけの朝食かもしれない。そう考えれば、この句のバナナは夏の季語として働いている。ただ、「すます」という動詞を入れたことで、朝食の報告になってしまったところがもったいないが…。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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