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艸句会報:東陽(令和3年5月)

東陽通信句会

高点1句
田水張り星の世界を迎へけり     野村えつ子

夕まぐれほうと仰げる花蜜柑     新井 洋子
摘みたての香り放ちて蓬餅      野村えつ子

  妙成寺
塔映す池の濁りやあめんぼう     安住 正子
クレマチス愛したひとは脳外科医   松本ゆうき
夏木立静かに深く息したり      堤 やすこ
地下鉄を出て薫風のオフィス街    中島 節子
終活の箪笥一棹桐の花        長澤 充子
武蔵野に樹々の声きく桜桃忌     岡戸 林風
太鼓橋よりの眺めや花菖蒲      斎田 文子
薫風を入れて糠床起こしをり     貝塚 光子
子どもの日むかしバットに頭文字   山本  潔
へんてこな名前のパン屋夏つばめ   岡崎由美子
更衣樟脳匂ふ形見分け        飯田 誠子
芥子坊主五人五色のランドセル    中川 照子

(清記順)

【一口鑑賞】田水張り星の世界を迎へけり」えつ子さんの句。田に水が入り、田植え仕度が整った田園地帯。何枚もの水田は夜の静けさに包まれている。山間地の急斜面につくられた棚田であってもいい。作者は、水田がまるで鏡のようにきれいな夜空を映していることに気づいたのだ。「星の世界を迎えけり」とは何と大きな写生だろう。水耕栽培は瑞穂の国誕生以来の生業。読者は長い長い稲作の歴史に想いをはせる。「芥子坊主五人五色のランドセル」照子さんの句。ランドセルといえば、かつては男が黒、女が赤と決まっていた。それが最近はブルーやグリーン、ピンク、ブラウンなどカラフルになっている。子どもたちの個性に合わせて好きな色を選べる時代になったのだ。作者もそれを喜んでいる。丸くてかわいい「芥子坊主」との取り合わせがよく合っている。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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