艸句会報:連雀(令和3年7月7日)
連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「小暑」
高点1句
紙魚走る定價弍圓の初版本 安住 正子
梅雨寒のアキレス腱とヒラメ筋 向田 紀子
水打つてけふの一日の乱れなく 横山 靖子
蚰蜒やふるさと捨てた馬鹿な俺 松本ゆうき
海の絵の葉書一枚小暑かな 松成 英子
泰山木師の師の花として咲けり 山本 潔
糶札の下を金魚の尾鰭かな 安住 正子
仏法僧鳴いて天狗の山深し 矢野くにこ
まだ上がる脚を頼りに夏帽子 春川 園子
笑む母の待つてゐさうな夏の駅 渕野 宏子
川音も闇も動かす螢かな 束田 央枝
たかんなの竹にならむとする勢 坪井 信子
辣韮漬く手伝ふ夫の手際よき 中島 節子
恙なく小暑の句座にありにけり 進藤 龍子
亡き母の残してゆきし蠅叩き 飯田 誠子
(清記順)
【一口鑑賞】「海の絵の葉書一枚小暑かな」英子さんの句。兼題「小暑」は二十四節気の一つ。陽暦ではちょうど7月7日頃。梅雨明けが近くなり、いよいよ夏も本番に向かう。小暑から立秋(8月8日ごろ)までが暑中見舞いを書く期間になる。この句は、お気に入りの海の絵葉書を手に、しばらく会っていない友達のことを考えているのかもしれない。「恙なく小暑の句座にありにけり」龍子さんの句。90歳を過ぎている作者。既にコロナのワクチン接種を2回終えて体調にも問題はないそうだ。句会に参加できる喜びを素直に詠んだ。上五の「恙なく」に実感が込められている。「小暑」をきっちり自分の身に引き寄せているところが素晴らしい。大ベテランならではの味わいのある一句。(潔)
兼題「小暑」
高点1句
紙魚走る定價弍圓の初版本 安住 正子
梅雨寒のアキレス腱とヒラメ筋 向田 紀子
水打つてけふの一日の乱れなく 横山 靖子
蚰蜒やふるさと捨てた馬鹿な俺 松本ゆうき
海の絵の葉書一枚小暑かな 松成 英子
泰山木師の師の花として咲けり 山本 潔
糶札の下を金魚の尾鰭かな 安住 正子
仏法僧鳴いて天狗の山深し 矢野くにこ
まだ上がる脚を頼りに夏帽子 春川 園子
笑む母の待つてゐさうな夏の駅 渕野 宏子
川音も闇も動かす螢かな 束田 央枝
たかんなの竹にならむとする勢 坪井 信子
辣韮漬く手伝ふ夫の手際よき 中島 節子
恙なく小暑の句座にありにけり 進藤 龍子
亡き母の残してゆきし蠅叩き 飯田 誠子
(清記順)
【一口鑑賞】「海の絵の葉書一枚小暑かな」英子さんの句。兼題「小暑」は二十四節気の一つ。陽暦ではちょうど7月7日頃。梅雨明けが近くなり、いよいよ夏も本番に向かう。小暑から立秋(8月8日ごろ)までが暑中見舞いを書く期間になる。この句は、お気に入りの海の絵葉書を手に、しばらく会っていない友達のことを考えているのかもしれない。「恙なく小暑の句座にありにけり」龍子さんの句。90歳を過ぎている作者。既にコロナのワクチン接種を2回終えて体調にも問題はないそうだ。句会に参加できる喜びを素直に詠んだ。上五の「恙なく」に実感が込められている。「小暑」をきっちり自分の身に引き寄せているところが素晴らしい。大ベテランならではの味わいのある一句。(潔)
- 関連記事
-
- 艸句会報:若草(令和3年7月10日) (2021/07/11)
- 艸句会報:連雀(令和3年7月7日) (2021/07/08)
- 艸句会報:かつしか(令和3年6月27日) (2021/06/28)