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艸句会報:若草(令和3年7月10日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「甘」

高点2句
背ナの子を夢ごと下ろす夏座敷    安住 正子
白絣きりりと結ぶ貝の口       針谷 栄子

練切りの甘さとけゆく花菖蒲     飯田 誠子
糸蜻蛉茶庭の小さきビオトープ    新井 紀夫
泥縄で生きてきましたももすもも   松本ゆうき
母と子とその子も集ひメロン切る   山本  潔
斑の金魚新入りにしてあるじ顔    新井 洋子
雨の日は雨たのしんであめんぼう   安住 正子
涼しさや甘味処の花手水       針谷 栄子
甘酒を仕込む匂ひや犬騒ぐ      石田 政江
ゆだち過ぐ洗ひたてなる空まさを   沢渡  梢
夏至の日の甘口カレー銀の匙     吉﨑 陽子
坪庭の実梅香りも黄金色       市原 久義
水揺れて目高は影を殖やしたる    坪井 信子

(清記順)

【一口鑑賞】白絣きりりと結ぶ貝の口」栄子さんの句。「貝の口」は着物の帯の結び方の一つ。男物の角帯の一般的な結び方で、折り目が二つ重なって二枚貝の口のように見えることからそう呼ばれるようになったらしい。この句は「白絣」が夏の季語。ご主人の姿だろうか。絣の模様が入った白地の着物がいかにも涼しそう。帯を結んだ瞬間を描写した。「甘酒を仕込む匂ひや犬騒ぐ」政江さんの句。作者の家には「ミカンちゃん」という大型犬がいてやんちゃな盛り。甘酒を作るときに使う米麹が大好きで、匂いがしただけで飛んでくるそうだ。小まめな作者は兼題「甘」を詠み込もうと、実際に甘酒を作ったのだろう。匂いに興奮して騒ぐ「ミカンちゃん」を見て一句ができた。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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